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Minto Mine |
カナダ・ユーコン準州のMinto鉱山は、Venerable VenturesとSelkirk First Nation(SFN)による新たな企業設立を通じて、その銅・金資源量を大幅に増加させました。2005年の推定値から銅と金の含有量が倍増したことで、この歴史ある鉱山は新たな局面を迎えています。この資源量の更新は、世界の銅供給に貢献する可能性を秘めています。
Minto鉱山の資源量と先住民所有の意義
Venerable Venturesの報告によると、Minto鉱山の概測資源量は銅1.2%、金0.46g/t、銀4.3g/tを含む1,260万トンに達し、これには銅3億3,400万ポンド、金18万7,000オンス、銀170万オンスが含まれます。さらに、推定資源量は銅1.05%、金0.38g/t、銀3.9g/tを含む2,370万トンで、銅5億4,700万ポンド、金29万5,000オンス、銀297万オンスに相当します。特に高品位のMinto Northエリアでの今後の掘削は、さらなる拡張が期待されます。
この資源量更新は、ユーコン準州最高裁判所がSFNによるMinto鉱山の買収を承認してから約1年後に行われました。これはカナダにおける先住民による鉱山所有の稀な事例です。この新たな所有形態は、地域社会の参加と恩恵を重視する持続可能な鉱山開発のモデルを示すものです。
生産再開と今後の展望
Minto鉱山は、以前のMinto Metalsによる財政難と操業停止を経て、2023年9月に売却に出されていました。しかし、Venerable VenturesとSFNはSelkirk Copper Minesを設立することで合意し、SFNが最大の株主となる予定です。これにより、新たな資金調達と探査活動が計画されており、Minto鉱山の生産再開が視野に入ってきました。2007年から2023年の間に約5億ポンドの銅を生産した実績を持つこの鉱山は、再び重要な銅供給源となる可能性を秘めています。
金属フォーカス 編集部コメント
Minto鉱山の銅・金資源量の大幅な増加と、先住民による鉱山所有という新たな開発モデルは、鉱業界に大きな示唆を与えます。このプロジェクトは、単なる資源量の増強に留まらず、地域社会との共生を通じた持続可能な資源開発の可能性を示しています。電動化の進展に伴う銅需要の高まりを背景に、Minto鉱山の生産再開は、グローバルな重要鉱物サプライチェーンの多様化と安定化に貢献するでしょう。