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Tata Steel |
タタ・スチール、欧州における「グリーン鉄鋼」生産への明確なロードマップ
インドの主要鉄鋼メーカーであるタタ・スチールは、英国とオランダにおけるグリーン鉄鋼生産への移行計画が今後数年間で順調に進むと確信しています。ナタラジャン・チャンドラセカラン会長は株主総会でこの方針を明確にしました。同社は、持続可能性と効率性を高めることで、欧州市場での競争力を強化します。
英国での高炉停止と電炉への移行を加速
タタ・スチールは、英国のポートタルボット工場で2基の高炉を停止しました。これは低排出ガス鉄鋼生産への重要な一歩です。英国政府から5億ポンドの支援を受け、2027/2028会計年度までに電気炉(EAF)への移行を目指します。現在、同社はインドとオランダから原料を調達し、英国の顧客へ供給しています。タタ・スチールは、今会計年度中に英国部門の営業利益を黒字化する目標を掲げています。
オランダにおける脱炭素化とコスト削減の取り組み
一方、タタ・スチールはオランダ政府と、脱炭素化計画に対する財政的・政治的支援について協議を進めています。加えて、同グループは2025/2026会計年度に5億ユーロのコスト削減を目指す変革プログラムを開始しました。これらの取り組みは、タタ・スチール・ネーデルラントを欧州で最も効率的かつ持続可能な鉄鋼生産者の一つとして確立することを目的としています。2025/2026会計年度には、インド、英国、オランダの事業に約17.6億ドルの設備投資を計画しており、特に英国事業には2.23億ドルを投じます。さらに、シンガポール子会社Tスチール・ホールディングスに25億ドルを投資し、欧州事業の強化と債務返済に充てる方針です。
金属フォーカス 編集部コメント
タタ・スチールの欧州におけるグリーン鉄鋼への移行は、世界の鉄鋼業界が直面する脱炭素化の喫緊の課題に対し、具体的な解決策を提示しています。政府支援との連携、そして効率化と持続可能性へのコミットメントは、今後の産業動向を占う上で極めて重要です。この動きは、他の主要鉄鋼メーカーにも波及し、グローバルな生産構造の再編を加速させるでしょう。