米MPマテリアルズ、サウジのマアデンとレアアース供給網構築へ 探鉱から磁石製造まで連携

MP Materials

レアアース大手のMP Materials(NYSE: MP)は、サウジアラビアの国営鉱業会社Ma’aden(マアデン)と、王国内でのレアアース供給網構築に向けた覚書(MoU)を締結した。
本合意は、2025年5月にリヤドで開催された「米サウジ投資フォーラム」において署名されたもので、探鉱・採掘から分離、精製、永久磁石製造までのバリューチェーン全体での協力を計画する。

中国依存の是正狙う 「Vision 2030」支える鉱業第三の柱に

マアデンのボブ・ウィルトCEOは、「本提携は、鉱業をサウジ経済の“第三の柱”にするための重要な一歩だ」と述べた。
また、MPマテリアルズのジェームズ・リティンスキーCEOは、「この提携は、ロボティクスやフィジカルAI向けの供給網再構築を後押しし、米サウジ間の戦略的関係強化にも寄与する」と語った。

サウジは「Vision 2030」のもと、鉱物資源を成長産業の中核に据えており、昨年には未開発鉱物資源の評価額を1.3兆ドルから2.5兆ドルへと上方修正。レアアースや各種金属の新発見が背景にある。

米中対立下での供給網分散化 MPは中国向け出荷を停止

MPマテリアルズは、米国唯一のレアアース鉱山「マウンテン・パス鉱山(カリフォルニア州)」での採掘と精製を担い、現在は国内精製能力の拡張も進めている。
直近四半期のレアアース濃縮物生産量は12,213トンで、前年比10%増を記録した。

同社は、中国政府が新たな輸出規制を導入したことを受け、中国向け濃縮物の出荷を停止。供給網の多極化が急務となっていた中での今回の提携は、米サウジ双方にとって戦略的意味合いが大きい。


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