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Copper Prices |
2025年7月、銅価格は上昇しました。この価格上昇の背景には、中国からの力強い需要と、主要生産国であるチリにおける供給リスクがあります。市場は、世界最大の銅消費国である中国の動向と、供給途絶のリスクに注目しています。
中国の堅調な需要が市場を下支え
7月、中国は予想を上回る輸出入の増加を記録しました。ドナルド・トランプ大統領が課した関税にもかかわらず、メーカーは代替市場を開拓しました。これにより、自動車や電化製品、建設資材といった産業用金属への需要が維持されています。国内需要が低迷する中、中国メーカーは国際的な買い手に依存し、生産量を維持しました。その結果、銅価格は上昇しました。中国の銅輸入量も予想を上回り、6月には今年の最高水準である48万トンに達しています。ロシアや中国資本のアフリカ鉱山からの出荷が、関税を回避する形で需要を満たした可能性もあります。
チリの供給リスクが価格にさらなる圧力をかける
銅価格上昇のもう一つの要因は、供給サイドのリスクです。世界最大の銅生産企業であるチリのコデルコ社は、エルテニエンテ鉱山での致命的な事故を受けて操業を停止しました。地下採掘活動が中断し、備蓄鉱石が尽きたため、処理プラントも稼働を停止しています。この操業停止により、毎月約3万トンの銅生産量が失われる見込みです。これはコデルコ社の生産量の4分の1に相当します。コデルコ社は、影響のない一部エリアの操業再開に向けて当局の承認を求めています。しかし、調査が進行中であるため、全面的再開は難しいと見られています。
金属フォーカス 編集部コメント
現在の銅市場は、中国の輸出主導型経済活動と、チリの鉱山事故による供給不安という二つの大きな要因に左右されています。短期的には、中国の堅調な需要と供給リスクが銅価格を押し上げるでしょう。しかし、中国の実需が依然として弱いこと、そしてコデルコ社の操業再開の可能性が示唆される中、市場は依然として不安定な状態です。今後、中国政府の経済刺激策と鉱山の復旧状況が、銅市場の行方を決定づける重要な要素になると見ています。