中国、対米レアアース輸出規制を一時停止 90日間の猶予措置で貿易摩擦緩和へ

レアアース

中国商務省は5月14日、米国の28企業に対して実施していたレアアースや軍事転用可能な技術・製品の輸出規制を90日間一時停止すると発表した。
これは、米中両国が互いの製品に課していた関税を一時的に引き下げることで合意した「貿易デタント(緊張緩和)」の一環。今回の動きは、両国の通商関係が「全面リセット」されるとのドナルド・トランプ米大統領の発言を裏付ける初の具体策となる。

軍事転用懸念の7種レアアースなどが対象 28社への規制を猶予

今回の輸出規制停止措置は、当初4月4日に米国の16企業を対象に発動された7種類のレアアースの輸出停止措置に端を発し、4月9日には追加で12企業が対象となっていた。
これにより、輸出企業は商務省に対し、90日間の期間中に輸出ライセンスの申請が可能となる。

中国商務省は同時に、17社の米企業に対する貿易・投資禁止措置の一時停止も発表した。

市場は前向きに反応 株価・ドルともに上昇

レアアースの供給不安が一時的に緩和されるとの見方から、米国市場では株価とドルがともに上昇。 投資家心理の改善が示された格好だ。
とはいえ、この措置はあくまで90日間の猶予期間であり、恒久的な解除ではない点に注意が必要。今後の米中通商協議の進展次第で、規制再発動のリスクは依然として残る。

レアアースは、電気自動車(EV)や風力タービン、防衛関連機器に不可欠な戦略物資であり、中国がその精製と供給において世界の中枢を担っている。

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