米国がクック諸島と連携強化:深海鉱物探査を巡る地政学的駆け引き

Cook Islands deep sea mining


太平洋の島嶼国であるクック諸島を巡る動きが活発化しています。米国は、同国との間で海底鉱物探査・開発に関する協議を開始しました。この動きは、クック諸島が中国と海底採掘を含む協力協定を結んだ数カ月後のことです。米国のこのアプローチは、深海鉱物探査を巡る地政学的戦略の一環です。


クック諸島の排他的経済水域における探査と地政学的な思惑

米国務省は、クック諸島の排他的経済水域(EEZ)における地図作成の合意を発表しました。米国政府はこの地域を「最も有望な深海鉱物探査地域の一つ」と評価しています。ニュージーランドと自由連合関係にあるクック諸島は、今年2月に中国と5年間の戦略的パートナーシップ協定を締結しました。この協定には、海底採掘協力が含まれています。この動きは、クック諸島とニュージーランドの関係に緊張をもたらしました。6月にはニュージーランドが財政支援を停止しています。


米国の単独行動主義と国際法への影響

トランプ大統領は、4月に深海鉱物探査のライセンス付与を加速する大統領令を発令しました。これは、中国の影響力に対抗するための「ゴールドラッシュ」と位置づけられています。この大統領令は、米国がこれまで遵守してきた国連海洋法条約(UNCLOS)からの方針転換を意味します。専門家は、このような一方的なアプローチは国際的な海洋規範を損なうリスクがあると警告しています。一方で、カナダの鉱業企業であるThe Metals Company(TMC)は、この大統領令を受けて国際水域での海底採掘申請を行いました。


金属フォーカス 編集部コメント

今回の米国の動きは、重要鉱物サプライチェーンの確保と、太平洋地域における中国の台頭をけん制する意図が明確です。深海鉱物資源の重要性が増す中、今後も国家間の競争は激化するでしょう。しかし、国際的な海洋法や環境への影響を無視した一方的な行動は、新たな法的・外交的リスクを生む可能性があります。国際協調と持続可能性を両立させる道筋が、今後の深海鉱物探査における重要な課題となると見ています。


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