グローバル市場における熱延コイル価格の動向:7月は地域間で明暗が分かれる

Global HRC market

2025年7月、グローバル市場における熱延コイル価格の動向は地域によって大きく異なりました。欧州と米国では価格が下落した一方で、中国では投機的な要因により一時的な価格上昇が見られました。市場の不確実性が高まる中、今後の価格動向が注目されています。


欧米市場:需要低迷と在庫過多で価格下落が続く

欧州の熱延コイル価格は7月も低迷しました。需要の弱さと供給過多が価格を下押ししています。西欧では前月比5.2%減の1トンあたり545ユーロ、イタリアでは3.2%減の527.5ユーロとなりました。これらの地域では8月もさらなる価格下落が予想されています。一方、米国市場でも価格は徐々に下落し、前月比1.7%減の1トンあたり970ドルとなりました。夏季の季節的な停滞と買い手の様子見姿勢が主要因です。一部の自動車産業や建設業界では活動が鈍化しており、市場全体の需要を押し下げました。


中国市場:投機的要因が価格を一時的に押し上げる

中国の熱延コイル価格は、7月に前月比7.1%増の1トンあたり490ドルと大幅に上昇しました。これは、貧困地域再建プログラム再開の噂が発端です。この噂は先物価格と現物価格を3カ月ぶりの高値に押し上げました。しかし、実際の需要は依然として低調なままです。週次の消費量は減少し、エンドユーザーは急激な価格高騰に抵抗感を示しています。一方で、在庫の減少と生産能力の制約が価格上昇を後押ししました。しかし、7月末の政治会合後、鉄鋼や原料炭の価格は落ち着きを見せました。その結果、上海証券取引所の熱延コイル価格も下落に転じています。


金属フォーカス 編集部コメント

7月の熱延コイル市場は、地域ごとの需給バランスと心理的要因が価格を左右する状況でした。特に中国の価格上昇は、投機的要因によるものであり、実需が伴わない脆い基盤の上に成り立っていました。今後、欧米市場は第4四半期に需要回復が期待されますが、中国市場は政府のインフラ投資政策に大きく依存します。グローバルな価格の安定には、各国の経済政策と実需の動向が鍵を握ると分析しています。


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