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k steel act |
韓国の鉄鋼業界が、世界的な圧力に直面しています。米国による高関税や安価な中国製品の流入が、業界に大きな打撃を与えています。これに対し、韓国政府は鉄鋼産業保護に向けた新法案を提出しました。超党派の議員が中心となり、業界の再建と競争力強化を目指しています。
「K-スチール法」が目指す長期的な産業戦略
韓国の与野党106名の議員が、「K-スチール法」という新法案を発表しました。この法案は、鉄鋼を国家安全保障と経済安定の基盤と位置づけ、長期的な産業戦略を描きます。具体的には、大統領直属の委員会を設置し、5カ年の基本計画と年次ロードマップを策定します。さらに、水素ベース技術など低排出技術への投資を支援するため、補助金、低利融資、税制優遇措置といった財政的インセンティブを盛り込みました。これにより、鉄鋼産業のグリーン化を強力に推進します。
貿易摩擦への対応と不公正な取引慣行の是正
「K-スチール法」は、国際的な貿易圧力に対処するための強力な保護措置も規定しています。具体的には、原産地規則の厳格化、低品質鉄鋼製品の輸入制限、不公正な取引慣行への政府の権限拡大を含みます。韓国の鉄鋼メーカーは、米国の50%関税という厳しい状況が続いています。加えて、2026年には欧州の炭素国境調整メカニズム(CBAM)が本格的に施行されます。これにより、脱炭素化を急がない韓国企業は追加コストに直面します。この法案は、こうした厳しい国際環境から鉄鋼産業保護を図るものです。
金属フォーカス 編集部コメント「K-スチール法」は、韓国の鉄鋼業界が直面する複合的な課題に対する包括的な解決策を提示しています。脱炭素化と保護主義の波を乗り越えるため、政府が産業全体の再編とグリーン化を主導する姿勢は注目に値します。この動きは、造船や自動車といった関連産業の競争力にも波及効果をもたらすでしょう。今後、この法案が迅速に可決・施行されれば、韓国の鉄鋼産業保護と国際競争力強化につながると見ています。