世界第2位のボーキサイト生産国ギニア、鉱山権51件を一斉剥奪──現地精錬投資を迫る強硬姿勢

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ギニア政府、ボーキサイトを含む51件の鉱山権を無償で国有化

西アフリカの資源大国ギニアで、政府が一夜にして51件の鉱山権を剥奪する異例の事態が発生した。5月15日夜、ギニアのファナ・スマ情報通信相が国営テレビで発表し、ドゥンブヤ大統領の署名による政令に基づき、該当する鉱区は「無償で国家に返還」された。対象にはボーキサイト、金、ダイヤモンド、黒鉛、鉄鉱石が含まれる。

同日、上海先物取引所のアルミナ先物価格は日中上限の7%上昇、3,149元/tに達し、供給リスクへの警戒が強まった。

ギニア、世界最大級のボーキサイト埋蔵国──2024年輸出は1億4,640万t

米地質調査所(USGS)によれば、ギニアは世界のボーキサイト埋蔵量の24.7%(約74億t)を占める世界最大の資源保有国。同国の2023年の生産量は9,700万tで、豪州に次ぐ世界第2位。輸出量は2024年に1億4,640万tに達したとされる。

これらの鉱山権は、ギニア政府および外国企業によって広く開発・保有されており、今回の措置は外資系企業への強い圧力とみられている。

外資系2社にも制裁──現地精錬の履行不履行が理由

今回の剥奪には、ケボ・エナジー(Kebo Energy SA)とエミレーツ・グローバル・アルミニウム(EGA)も含まれる。ケボ社は2019年の計画で年1,000万tの採掘と年260万tのアルミナ精錬所建設を掲げていたが、資金調達に失敗。一方、EGAも現地での精錬所建設義務を果たさなかったとされ、政府によって鉱山権を剥奪された。

英投資銀行パンミュア・リベラムの資源部門責任者トム・プライス氏は、「ギニア政府はボーキサイト産業への圧力を強め、地元精錬投資を義務化しようとしている」と指摘する。

西アフリカに広がる資源ナショナリズムの波

ギニアに限らず、ニジェール、マリ、ブルキナファソなど西アフリカ諸国では2020年以降、鉱物資産の国家管理強化が進んでいる。背景には、外貨獲得手段としての資源収益の最大化がある。

ギニア政府の一連の動きは、世界のアルミニウム・アルミナ市場に大きな影響を及ぼす可能性がある。特に、中国やロシアなどギニア産ボーキサイトに依存する製錬企業にとって、現地での精錬義務が新たなコスト要因となる可能性もある。

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