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銅線材 |
5月12日の米中共同声明で24%の追加関税を90日間停止
5月12日午後、ジュネーブでの米中経済通商協議終了を受け、両国は「米中共同声明」を発表。トランプ政権下で発令された追加関税措置(24%)を90日間停止することで合意した。中国側も対抗措置としての91%追加関税を撤回し、貿易環境は一時的に緩和された。これを受けて、中国から米国向けの海上輸送スペースが急速に逼迫するなど、輸出駆け込みの動きが一部で見られた。
銅線材輸出、直接影響は限定的──駆け込み需要はQ3以降に反映か
中国税関総署のデータによれば、2024年の米国向け銅線材(直径6mm超)の輸出台数は213トンで、全体の0.35%に過ぎない。また、その他の精製銅線材の米国向け輸出も646トン(0.97%)にとどまっており、直接的な影響は軽微であるとされる。
一方、加工製品や最終用途向けの駆け込み輸出需要が、今後第3四半期以降に銅線材市場に波及する可能性があるとSMM(上海有色網)は分析している。
加工貿易は「原産地」問題で頭打ち、東南アジア経由の動向に注目
中国製銅線材の多くは東南アジア経由で再加工され、米国や欧州に再輸出されているが、こうした保税加工貿易(entreport trade)では「原産地証明」が依然として未解決であり、輸出増加の障壁となっている。
さらに、トランプ政権が4月9日に発表した「対中以外の70カ国向け関税適用停止(90日)」の期限が7月に迫るなか、再輸出市場の顧客は新規注文を様子見しており、5月以降は新規輸出注文が30%減少しているとの報告もある。
SMMによれば、現在の輸出は主に長期契約や既存注文、東南アジア向け現地消費によるもので、新規輸出案件の動向は今後の通商交渉と地域需要の成長に左右される見通しだ。
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