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米アルミニウム協会 |
米国内の原料供給不足は400万トン、再稼働でも15%しか賄えず
米アルミニウム協会(The Aluminum Association)は、Wittsend Commodity Advisorsとの共同調査による新たなホワイトペーパーを発表し、アルミニウムのリサイクル拡大の必要性と国内供給体制の強化を訴えた。
報告書は、米国で新たな一次アルミニウム製錬所を建設するには5~6年の期間と多額の資本投資を要するとした上で、年間75万トン規模の製錬所を5カ所建設する必要があると試算している。
米国では現在、一次アルミニウムの生産能力の半分未満しか稼働しておらず、400万トンの供給不足が生じている。仮にすべての製錬所を再稼働させたとしても、不足分の15%程度しか補えないという。
リサイクル生産は過去最高に到達──10年間で100億ドル超の投資
国内の一次生産は減少傾向にある一方で、2024年のリサイクルアルミニウム生産は過去最高を記録した。これは、米国内における資源循環の重要性を再認識させる結果となっている。
米アルミニウム産業には過去10年間で100億ドル(約1.5兆円)以上の投資が行われ、再生産能力や下流加工設備の整備が進んできた。
経済・安全保障上の戦略物資としての重要性強調
米アルミニウム協会のチャールズ・ジョンソン会長兼CEOは、「アルミニウムは米国の経済および国家安全保障にとって不可欠な戦略物資であり、エネルギー政策、通商政策、リサイクル政策の三位一体の戦略が必要だ」と強調している。
今後、米国が安定的かつ持続可能なアルミニウム供給体制を構築するためには、一次生産能力の回復だけでなく、再生原料の活用促進と政策的支援の拡充が求められている。
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