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タングステン |
タングステン18%高騰、欧州現物市場で1mtuあたり400ドルに
欧州市場におけるタングステン価格が5月に急騰し、2013年末以来の高値を記録した。背景には、中国による輸出規制の強化と供給枠の削減がある。タングステンは航空宇宙、電子機器、防衛産業などで不可欠な金属であり、市場では代替供給源の確保に奔走する動きが広がっている。
価格の指標とされるアンモニウム・パラタングステン(APT)の欧州スポット価格は1mtuあたり400ドルに達し、2月から18%上昇。APTはタングステン金属の原料となる化合物である。
中国、年間供給枠6.5%削減──輸出規制でスクラップ依存も限界
中国政府は2024年2月、米国の対中関税への対抗措置として、タングステン、テルル、モリブデン、ビスマス、インジウムなどの輸出を制限した。また、今年最初のタングステン鉱石採掘枠を5万8,000トンに設定し、前年比6.5%減とした。
中国は世界のタングステン供給の8割超を担い、2024年の生産量は6万7,000トン(米国地質調査所:USGS)に達する。
Guardian Metal ResourcesのCEOであるオリバー・フリーゼン氏は「スクラップ供給に頼る動きが続いているが、その在庫も尽き始めており、一次供給の確保が困難との懸念が広がっている」と指摘する。
アルモンティ社が米国防専用契約──米国は輸入依存続く
こうした中、カナダのタングステン企業アルモンティ・インダストリーズ(Almonty Industries)は先週、米国防衛用途専用の供給契約を締結したと発表。同社はスペイン、ポルトガル、韓国に鉱山を持ち、探鉱・採掘に特化している。
CEOのルイス・ブラック氏は、「米・EU・韓国の防衛需要は賄えるが、それ以外の民生市場までは対応できない」と語る。
米国では2015年以降、商業的なタングステン鉱山は稼働しておらず、現在も需要の大部分を輸入に依存している状況だ。
タングステンは非常に硬度が高く、ダイヤモンドに次ぐ硬さを持つことから、切削工具、防弾装甲、軍用砲弾などに利用されている。
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