中国、戦略鉱物の輸出を全供給網で厳格管理へ

戦略鉱物

国家安全を優先し、ガリウム・ゲルマニウムなどに対応強化

【北京発】中国商務省は5月12日、戦略鉱物の輸出全体を対象とする厳格な管理体制の強化を発表した。これは、国家安全保障に直結する重要資源の不正流出を防止する特別政策の一環だ。

中国はガリウム、ゲルマニウム、アンチモン、タングステン、さらには一部の希土類(レアアース)など、半導体、エネルギー転換、防衛産業に不可欠な鉱物の世界最大の供給国としての地位を有している。これらの資源に対する2023年からの輸出制限措置がさらに広範囲に及ぶ形となる。

輸出管理網を全国で整備、「予防第一」で違法流出防止

商務省によると、今回の措置では湖南省長沙市で関係政府機関による合同会議を実施。税関、工業情報化部、公安部、国家安全部などが連携し、「予防第一」の原則に基づき、鉱物の流通を追跡し、不正な輸出を未然に防ぐことが強調された。

中国政府は先週から、戦略鉱物の密輸撲滅キャンペーンを開始しており、今回の発表はその延長線上にある。

米中関係改善と同時進行する資源統制

この発表は、米中両国が貿易戦争終結に向けた関税引き下げ合意を公表した直後に行われた。両国関係の緩和が進む一方で、中国は資源主権の強化を通じて、地政学的リスクへの対応を明確に示している。

戦略鉱物の供給体制に関する今回の強化措置は、ハイテク産業や防衛分野のグローバル・サプライチェーンに重大な影響を及ぼす可能性がある。

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