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銅鉱山 |
脱炭素社会への移行が加速する中、電気自動車や再生可能エネルギーインフラに不可欠な銅の需要が急増している。鉱業大手BHPは、2050年までに世界の銅需要が現在比70%増の年間5,000万トンに達すると予測。BloombergNEFによれば、関連する鉱物資源への投資は2050年までに2.1兆ドルにのぼる見通しだ。この需要に応えるため、既存鉱山の生産強化が急務となっている。
チリのエスコンディダが首位を維持、上位鉱山は堅調な生産
2024年の世界銅鉱山ランキングで、チリのエスコンディダ鉱山(BHP主導)は1,280,000トンを産出し、前年比16%増で首位を維持した。BHPは同鉱山の選鉱施設最適化に20億ドルを投資するなど、銅ポートフォリオ全体で108億ドル規模の拡張戦略を展開中である。
インドネシアのグラスベルグ鉱山(Freeport McMoRanとPT Mineral Industri Indonesia)は816,466トンで2位、前年の天候被害から回復した。3位はチリのコジャワシ鉱山(Glencore、Anglo American、三井物産)で、558,636トンと微減(▲2.5%)だった。
その他、コンゴ民主共和国(DRC)のカモア・カクラ(437,061トン、+11%)、メキシコのブエナビスタ(433,000トン、+4%)が続いた。
生産拡大と課題:投資回収と地政学リスク
ペルーのセロ・ベルデ(430,459トン、▲3.7%)、同国のアンタミナ(413,000トン、▲2.1%)、DRCのテンケ・フングルメ鉱山(400,000トン、+42.7%)では明暗が分かれた。テンケは中国CMOCが25億ドルを投じて拡張し、その成果が生産急増に直結した。
欧州から唯一ランクインしたポーランドのKGHMは395,160トンと前年並み、ロシアのノリリスク・ニッケル傘下ポーラー・ディビジョンは345,000トン(+6.3%)でトップ10を締めくくった。
これら10鉱山の合計生産量は5.8百万トンを超え、グローバル供給の中核を成す。今後、インフラ拡充と電化の加速により銅の戦略的価値は一層高まる見通しであり、各鉱山運営者には持続的拡張と環境対応の両立が求められる。
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