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Finnish mining industry |
最新のフレーザー研究所「鉱業企業年次調査」によると、フィンランドが鉱業および探査投資の魅力度で世界首位に返り咲きました。フィンランドは2010年代初頭にもこの地位を占めており、再びその優位性を確立しています。続いてネバダ州、アラスカ州が上位に位置しました。
カナダの魅力度低下と政策課題
一方で、カナダの順位は顕著に低下しました。昨年は4州がトップ10入りしていましたが、今年はサスカチュワン州(7位)とニューファンドランド・ラブラドール州(8位)の2州のみが残りました。特にオンタリオ州は税制、労働規制、政治的安定性への懸念から10位から15位へ、ケベック州は税制、規制重複、法的枠組みへの懸念から5位から22位へと大幅に順位を下げました。この順位低下は、カナダにおける政策不確実性が投資家の間で深刻な懸念材料となっていることを浮き彫りにしています。
政策と地質学的可能性の評価
フレーザー研究所の調査は、地質学的可能性と政府政策の両面から各地域を評価しています。今年の調査では82地域が対象となり、約350の鉱業専門家から回答を得ました。回答者の多くは探査会社(40%)または鉱山会社(32%)に所属しています。彼らは税制、許認可期間、環境規制、労働力確保といった重要な要素を評価しました。ノバスコシア州の鉱業協会エグゼクティブディレクター、ショーン・カービー氏は、同州の低い評価を受け、許認可プロセスの抜本的な見直しが不可欠であると強調しました。同氏は、ノバスコシア州が重要な鉱物資源に恵まれているにもかかわらず、投資を呼び込み雇用を創出するためには許認可の改善が急務であると述べています。
金属フォーカス 編集部コメント
フィンランドの首位返り咲きは、安定した政策と優れた地質学的潜在能力が投資を強く引きつけることを示しています。一方で、カナダの順位低下は、政策の不確実性が豊富な資源を持つ地域であっても投資環境を大きく悪化させるリスクを明確に示唆しています。特に、環境規制や先住民族との土地問題といった政策的な要素が、グローバルな鉱業投資フローに今後も大きな影響を与え続けるでしょう。