ウクライナのMetinvest、戦時下でも鉄鋼生産を堅持

Metinvest

Q1粗鋼生産は48.8万トン、商業製品は77万トンに増加

ウクライナの鉄鋼大手Metinvestグループは、2025年1〜3月期に粗鋼48.8万トン(前年比+4%)を生産し、前年同期を上回ったことを明らかにした。四半期ベースでは前期比横ばいで、堅調な操業体制を維持している。

同社の銑鉄生産量は43.6万トン(前年比+8%、前期比-4%)で、これは2024年3月に実施されたKametstal製鉄所の高炉9号の定期修繕と、粉炭設備の一時停止の影響を受けた。一方、戦時下にもかかわらず操業を継続し、地域社会や国家予算への貢献を続けている。

商業鋼製品は77万トンに増加、長尺製品が牽引

同期間の商業鋼製品の生産量は77万トン(前年比+3%、前期比+8%)となった。内訳は圧延品が26.1万トン(前年比-7%、前期比+35%)、長尺製品が33.6万トン(前年比+11%、前期比+17%)、半製品が17.3万トン(前年比+4%、前期比-26%)。

長尺製品はKametstalの注文増により生産が増加した一方、厚板など平鋼材の需要減退が圧延品の落ち込みを招いた。

鉄鉱石は減産傾向、石炭は米国子会社に集中

鉄鉱石精鉱の生産量は317万トン(前年比-21%)。販売可能製品ベースでは376万トン(前年比-15%、前期比+11%)。このうちペレットが169.7万トン(前年比+7%)と堅調だった一方、精鉱は206万トン(前年比-27%)にとどまった。

石炭精鉱生産量は51.8万トン(前年比-52%)と大幅減。2025年から米国のUnited Coal Companyに生産を集中しており、ウクライナのPokrovske炭鉱の操業停止が背景にある。

また、コークス生産は26万トン(前年比-8%)で、Kametstalのバッテリー1号機の停止やZaporizhkoksの戦闘による緊急停止が影響した。

年間実績:2024年は粗鋼210.9万トン、鉄鉱石は大幅増

2024年通期では、Metinvestは粗鋼210.9万トン(前年比+4%)、銑鉄182万トン(+3%)を生産。鉄鉱石精鉱は1573万トン(+42%)と大幅増。一方で石炭精鉱は428万トン(-22%)に減少した。


コメントを投稿