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アルミスクラップ |
国際リサイクル局(BIR)は2025年5月版「World Mirror on Non-Ferrous Metals(非鉄金属ワールドミラー)」を発表し、世界各地のリサイクル業者が関税不確実性の影響に直面している現状を明らかにした。
中でも米国の関税措置は、インドのアルミスクラップ価格を上昇させる一因となっている。インド向けのUAEからの出荷量が大幅に減少する一方で、高品位スクラップは引き続きEUおよび米国へ流通していると報告された。
北米・アジア太平洋地域では市況停滞、欧州は供給不足深刻化
カナダでは米国ビジネスの減速が製造業に影響を及ぼし、スクラップ需要も4月初旬に鈍化。とはいえ、「Taint Tabor」や「エクストルージョンスクラップ」など特定品目への関心は回復傾向にあるという。
米国では銅の価格とスプレッドが依然として極めて不安定な状況が続いている。
アジア太平洋では、マレーシア・ポートクランの流通が限定的となり、オーストラリア・ニュージーランドでも供給逼迫と利幅縮小により市況は低迷している。
一方欧州では、ポルトガルやスペインで深刻なスクラップ不足が発生。対照的に英国のヤードでは健全な集荷量を維持しているとBIRは報告している。
関税リスクが市場構造を揺るがす中、選別と品質重視が進む
BIRは、世界的な関税政策の不透明さが取引行動に直接影響を与え始めていると分析。高品質スクラップの流通が優先される一方で、新興国への出荷はコスト増で困難になりつつある。
こうした状況は、非鉄金属スクラップ業界における供給網の再構築と品質管理の重要性を改めて浮き彫りにしている。
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