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Assofermet |
イタリアの鉄鋼流通・サービスセンター協会Assofermetは5月13日、欧州連合(EU)全体で低迷する鋼材需要を回復させるための政策的介入を欧州委員会に求めた。
声明では「EU鉄鋼業は、低コストで生産可能な第三国の次世代製鉄所の台頭と、脱炭素への構造転換という歴史的転機に直面しており、迅速かつ具体的な支援が不可欠」と強調された。
建設・自動車産業の低迷が鉄鋼需給全体に波及
欧州鉄鋼協会Euroferによると、2024年のEU域内の鋼材消費量は前年比2.3%減の1億2700万トンに縮小する見通し。主因は建設および自動車セクターの景気後退で、鉄鋼サプライチェーン全体の安定性が揺らいでいる。
5月12日時点の南欧域内ホットコイル価格はトン当たり620ユーロ(約690ドル)で横ばいと、需要低迷が価格にも影響している。
税制優遇や公共調達制度見直しを提案
Assofermetは、税額控除、無償補助金、鉄鋼製品に対する付加価値税(VAT)の軽減といった需要喚起策の導入を要請。また、EU域内で生産された高鋼材含有製品の公共調達での優先使用義務化も提案した。
さらに、炭素国境調整メカニズム(CBAM)の鉄鋼含有製品への対象拡大を支持し、安価な輸入品との競争環境を是正するよう訴えた。
危機下で浮き彫りとなった域内供給網の脆弱性
同団体はCOVID-19パンデミック時の教訓にも言及。EUが鉄鋼製品を輸入に依存していたことが明るみに出たとして、強靭な域内供給網の整備が不可欠と強調した。
「鉄鋼を多用する需要産業の活性化は、欧州の製造業基盤を守るだけでなく、域内経済の成長にも寄与する」とAssofermetは訴えている。
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STEEL