![]() |
銑鉄 |
ウクライナの銑鉄輸出が大幅に減速している。
2025年4月のウクライナ産商業用銑鉄の輸出量は12万180トンとなり、前月比60.1%減となった。これは、2021年12月の過去最高水準以来の急落であり、主に米国やEU諸国での需要低下が背景にある。前年同月比では2.1倍に増加しているものの、月間ベースでは深刻な落ち込みとなった(ウクライナ国家税関庁データを基にGMK Centerが集計)。
米国・ポーランド向け輸出が減少、イタリアはゼロに
主要市場での需要減退が顕著だ。
2025年4月における輸出先内訳を見ると、米国向けは11万5,520トン(前月比▲52.9%)、ポーランド向けは3,390トン(同▲1.6%)。イタリア向けには4月中の輸出がゼロとなった。
1〜4月累計では、銑鉄輸出量は57万4,060トン(前年比+37.4%)。このうち米国向けは47万6,020トン(同+46.7%)、イタリア向けは6万5,550トン(同+106.7%)、ポーランド向けは1万4,500トン(同▲27.3%)だった。
米国が主力市場に、EUは停滞──2024年通年動向
2024年通年のウクライナの銑鉄輸出は129万トン(前年比+3.4%)、輸出収入は5億34万ドル(同+6.1%)だった。2023年は125万トン、2022年は132万トン、2021年には323万トンを記録しており、戦争と物流の混乱を経て回復傾向にはあるが、依然として水準は低い。
国別では、米国が最大の輸出先となり、2024年は94万210トン(前年比+514%)を出荷。これは黒海ルートの海上物流が一部再開したことによる。また、トルコ向けも10万2,490トン(同+617%)、イタリア向けは9万3,280トン(同+61.9%)と拡大。一方で、かつて最大の輸出先だったポーランド向けは6万3,050トン(同▲90%)に急減。2023年にはウクライナの銑鉄輸出の50%以上(63万3,340トン)を占めていた。
Tags
STEEL