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Feralpi Stahl |
イタリアのフェラルピ・グループ傘下であるドイツの鉄筋メーカー、フェラルピ・シュタール(Feralpi Stahl)は5月、ザクセン州リーザに総額2億2000万ユーロを投じた革新的な新鋼圧延工場を正式に稼働させた。再加熱不要の「直圧延(ダイレクト・ローリング)」技術により、同施設はエネルギー効率と脱炭素性において欧州でも先進的なモデル工場とされる。
再加熱ゼロ、排出ゼロ──グリーン製鉄を具現化
新工場では、電気炉で鋳造された鋼ビレットを再加熱することなく、長さ300メートルのローラーコンベアを通じて直接圧延する。この工程では、再加熱によるエネルギー消費を削減し、電気ヒーターによる温度維持には再生可能エネルギーが使用されることで、事実上排出ゼロの製造プロセスを実現している。
使用するスクラップ原料はドイツ、ポーランド、チェコから調達され、現地で純度検査を経て投入される。高品質なスクラップこそがグリーン製鋼の鍵だと同社は強調する。
巨額の電力消費──政府に産業用電力価格の是正を要請
工場の電力消費量は「ドレスデン市全体と同等」とされ、エネルギーコストは最大の課題となっている。フェラルピは送電料金の引き下げや、エネルギー多消費産業への補助継続、産業用電力料金の導入を連邦政府に求めている。
ドイツ政府はすでに5000億ユーロ規模の特別基金を承認しており、このうち一部がインフラプロジェクトを通じてフェラルピの製品(バルブなど)に波及すると期待されている。
ドイツ製鉄業、2024年は回復傾向──生産5.2%増
GMK Centerによれば、2024年のドイツの粗鋼生産量は前年比5.2%増の3723万トン。このうち銑鉄は2433万トン(+2.9%)、熱延鋼は3161万トン(+3%)と回復傾向を示した。
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STEEL