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| EU Scrap Metal |
2026年、EUスクラップ金属市場は大幅な変化が予想されます。EU内の生産者は、供給減少に対応するため、鉄鋼生産量を13〜14%増加させる必要があります。その結果、追加で約8百万トンのスクラップ金属が必要となり、市場価格の上昇圧力が強まります。
EU市場における収集量と価格動向
欧州連合は2025年の87百万トンから2026年には95百万トンにスクラップ金属の収集量が増加すると見込まれています。過去にも2017年や2021年に同様の需要増加がありましたが、その際は価格上昇を伴いました。最新の市場データでは、収集量と価格は密接に連動しており、E3デモリション(ドイツ)では価格が最大33%上昇し、€400/tに達する可能性があります。グローバル市場では、HMS 1&2(80:20)でCFRトルコ条件で約$500/tが想定されます。
規制と輸出制限が価格に与える影響
EUではCBAM(炭素国境調整措置)の技術的障壁が強化され、2026年上半期の輸入量は前年比20〜30%減少が見込まれます。さらに新しい関税枠制度により43%の輸入枠削減が予定され、実際には50%以上の減少も予測されます。これに伴い、EUからのスクラップ輸出は13〜14百万トンに減少すると予想され、収集量は91〜92百万トンに増加します。これにより、E3デモリション(ドイツ)でのスクラップ価格は€360/tに上昇、世界市場では$420〜440/tまで上昇する可能性があります。
加えて、EUスクラップ輸出規制が導入される見込みです。これにより、EU市場価格への急激な上昇圧力は緩和されますが、規制の具体的な内容次第で市場の動きは大きく変わります。いずれにしても、グローバル市場はスクラップ金属価格の上昇に備える必要があります。
金属フォーカス 編集部コメント
EUスクラップ金属市場の価格上昇は、鉄鋼生産と輸出のバランスに直結しています。規制強化と供給制約が重なることで、短期的にはEUおよび世界市場でスクラップ価格の上昇が避けられません。投資家やメーカーは、原料調達コストの上昇に対する戦略的対応が求められます。


