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| Saudi arabia steel scrap prices |
2025年以降、サウジアラビア国内鉄スクラップ市場とトルコ輸入市場の価格相関が弱まり、地場市場向けの価格指標の必要性が高まっています。市場関係者によると、この傾向はサウジ国内での取引契約や価格交渉に直接影響しています。
地場市場向けスクラップ価格指数の導入
世界初となるサウジアラビア国内鉄スクラップ指数を立ち上げました。この指数は、ジェッダ、リヤド、東部州でのHMS 1&2スクラップ価格をもとに、素材の寸法や品質を正規化したトン数加重モデルで算出されます。サウジ国内の製鋼所では、直接還元鉄(DRI)やホットブリケット鉄(HBI)と並び、スクラップが主要な原料として使用されています。
トルコ市場の輸入スクラップ価格はここ数カ月で上昇しましたが、サウジ国内の価格は9月・10月に大幅下落しました。その結果、両市場の価格相関は極めて低く(R² 20.6%~53.9%)、トルコ価格を基準とした契約では現実のサウジ市場と乖離する事態が発生しました。
市場反応と価格動向
2025年12月2日時点で、サウジ国内鉄スクラップHMS 1&2指数は1,316.89リヤル(約351ドル)/トンで取引され、同日トルコ輸入CFR価格との差は16ドル/トンのディスカウントとなりました。市場関係者によると、サウジ国内スクラップの品質比率は通常60:40または70:30であり、トルコ輸入品の80:20に比べ低いため、今後の価格調整は限定的と見られます。
サウジビジョン2030と地場価格指標の重要性
サウジビジョン2030の達成に向けた施策や地場鋼材需要の増加により、企業は国際比較よりも国内価格指数の活用を優先する傾向が強まっています。国内製鋼能力拡大と建設プロジェクトによる需要増加を背景に、政府は海外市場からのスクラップ輸入を管理する新たな機関を設立予定です。
2025年1~10月、サウジ国内製鋼所は前年同期比12.9%増の887万トンを生産しました。IFベースの企業やEAF再稼働による増産が生産増を牽引し、非石油民間部門も11月に過去10カ月で最も高い活動水準を記録しました。
金属フォーカス 編集部コメント
今回の価格相関低下は、サウジアラビア鉄スクラップ市場が独自の価格形成メカニズムを確立する過程を示しています。中長期的には、地場指数の活用と政府による供給管理が、国内鋼材市場の安定化に寄与するでしょう。


