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| Latin American Steel Market |
ラテンアメリカの鉄鋼業界は、2025年に生産量が大幅に減少すると予測されています。Alacero(ラテンアメリカ鉄鋼協会)の年次会議で示されたデータによれば、地域全体の鉄鋼生産量は前年比2.5%減の5,540万トンに落ち込む見込みです。特に圧延鋼の生産は前年比3.5%減の5,000万トンが予想され、地域経済と製造業チェーンに影響を与える可能性があります。
メキシコ・チリ・ブラジルの個別動向
メキシコは、米国との貿易不確実性と関税引き上げの影響で、前年比7.5%の減少が見込まれています。一方、チリではフアチパト製鉄所の閉鎖により、生産量が前年比41.4%減少すると報告されています。ブラジルはわずか0.8%の減少にとどまるものの、地域全体の生産低下の中で安定性が注目されています。ラテンアメリカ鉄鋼業界は中国からの輸入増加にも直面しており、今年の輸入割合は消費量の39.7%に達し、そのうち中国製が45.4%を占めています。
中国輸入と地域の産業政策への示唆
過去15年間で、中国からラテンアメリカへの圧延・半製品輸出は4百万トンから14.1百万トンへと233%増加しました。この「低価格輸入の波」は地域の鉄鋼生産を圧迫し、1.4百万の直接・間接雇用に影響を与えています。OECDやAlacero、メキシコCanaceroは、ラテンアメリカ鉄鋼産業の脱工業化が加速していると警告しています。産業政策の見直しと地域内のバリューチェーン強化が急務とされています。
金属フォーカス 編集部コメント
ラテンアメリカ鉄鋼業界の2025年生産減少は、地域内製造業の競争力低下を示唆しています。中国からの安価な輸入増加は、産業政策や投資戦略の見直しを迫る要因となります。今後、地域統合型の鉄鋼バリューチェーン構築が成長の鍵となるでしょう。
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STEEL


