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| Zijin Gold |
モルガン・スタンレーは、ジジン・ゴールドの香港での上場(IPO)における引受け業務が、米国政府の規制、財務、評判に関わるリスクを伴う可能性があるとの指摘を受けました。
ジジン・ゴールドは、中国の鉱業大手、ジジン・マイニング・グループの子会社であり、ウイグル人権侵害に関連する問題により、米国政府の制裁リストに載っている企業です。モルガン・スタンレーは、ジジン・ゴールドが香港証券取引所に上場するための支援を行い、その資金調達の手助けをしましたが、この行為がジジン・マイニングが米国の禁輸措置を回避する助けになったのではないかという疑問が提起されています。
米国議会の関心:ウイグル強制労働問題と上場の関係
米国下院の中国に関する特別委員会は、モルガン・スタンレーがジジン・ゴールドの上場に関与したことで、米国の強制労働防止法に違反する可能性があると指摘しています。委員会の議長であるジョン・ムーレナー氏は、モルガン・スタンレーのCEOであるテッド・ピック氏に対して、ジジン・ゴールドとその親会社であるジジン・マイニングとの関係に関する文書と通信の提出を求めました。提出期限は11月27日です。
特に、ジジン・マイニングは2023年1月に「ウイグル強制労働防止法」実体リストに追加されており、このリストには、ウイグル人をはじめとする中国西部・新疆地域の少数民族に対する強制労働に関与しているとされる企業が含まれています。米国政府は、中国当局がウイグル人を対象に強制労働キャンプを運営していると非難しており、これを否定する北京との対立が続いています。
モルガン・スタンレーの対応と今後の影響
モルガン・スタンレーは、今回の尋問に関してコメントを控えており、ジジン・ゴールドおよびジジン・マイニングからも即答はありませんでした。しかし、この問題は、米国の金融機関が中国の軍事的背景や人権問題に関連する企業の上場を支援することが、米国政府の政策目標に反する可能性があるという点で、さらなる議論を呼ぶことは間違いありません。
また、下院委員会は7月に、米国の他の大手金融機関であるJPMorganやバンク・オブ・アメリカに対して、中国のCATL(世界最大の電気自動車用バッテリー企業)の香港上場に関する文書の提出を求めており、同じく中国軍との関連が問題視されています。
金属フォーカス 編集部コメント
モルガン・スタンレーのジジン・ゴールドへの関与は、米国の金融規制と人権問題が交錯する重要な事例を示しています。今後、同様の問題が他の中国企業のIPOにどのように影響するか、また企業が人権問題とどのように向き合うべきかが注目されます。


