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Smackover Lithium Project |
Smackover Lithiumがテキサス州東部で推定資源量を公表し、北米最高水準のリチウム塩水濃度を示しました。本プロジェクトは、標準リチウム(Standard Lithium)とノルウェー国営エネルギー企業エクイノール(Equinor)の合弁事業であり、東テキサス地域のSmackover層に位置しています。推定資源はリチウム炭酸塩換算で約216万トンに上り、電気自動車(EV)や電子機器向けの原料供給を大きく支える見込みです。
本プロジェクトは、2022年以降約8万エーカーの塩水鉱区の鉱区リースを展開し、46000エーカー以上が資源推定のためにリースされています。地震探査や過去の石油・ガス井戸のコアサンプルおよびログ情報を活用し、2023年には3つの探索井戸を完了しました。特にPine Forest 1井戸で測定されたリチウム塩水濃度は806mg/Lと、北米最高値を記録しました。この濃度はリチウム塩水資源の経済的価値を示す重要指標となります。
さらに、同プロジェクトではリチウムのほか、米国地質調査所(USGS)の草案で新たに重要鉱物リストに加えられたカリ塩(塩化カリウム)や臭素も豊富に含有しています。カリ塩換算で1541万トン、臭素換算で264万トンの資源が0.61立方キロメートルの塩水内に存在すると報告されています。Smackover Lithiumはテキサス州内で2つの追加プロジェクト開発も計画しており、ポートフォリオの面積は約3倍に拡大予定です。
テキサス州におけるリチウム産業の将来展望
東テキサスのSmackoverプロジェクトは、北米におけるリチウム供給の新たな中心地として注目されます。標準リチウムのアンディ・ロビンソン社長は、東テキサス地域を過小評価されている資産と位置づけ、将来的な大規模生産の基盤としています。加えて、同社はアーカンソー州南西部でのグリーンフィールドリチウム抽出・化学品生産施設の建設を進めており、米国エネルギー省からの2億2500万ドルの助成金を受けています。
これらの動きは、米国内でのリチウム供給網強化と安定化に寄与し、電動化の加速に伴う需要増に応えるものです。投資家や製造業者にとっても、北米リチウム資源の質と量の拡大は注視すべき重要なトピックとなっています。
金属フォーカス 編集部コメント
東テキサスSmackoverプロジェクトの高濃度リチウム塩水資源は、北米リチウム供給の新たな柱となる可能性を秘めています。今後、複数フェーズの開発進展により年間10万トン超のリチウム化学品生産達成は、米国のサプライチェーン強化とEV市場の持続的成長を支える重要な要素となるでしょう。