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China NEV |
中国は2025年の自動車販売目標を3,230万台に設定しました。これは前年比3%増にあたります。さらに、新エネルギー車(NEV)の販売目標は前年比20%増の1,550万台です。今年1月から8月までの販売実績が好調なことから、この目標は達成可能と見られています。
自動車販売の好調と鉄鋼需要の現実
中国の自動車販売目標は市場の期待に沿う内容です。しかし、これが鉄鋼需要を直接的に押し上げるかについては、市場関係者の間で懐疑的な見方が優勢です。上海の鉄鋼トレーダーは、自動車製造に用いられる熱延コイル(HRC)や冷延コイル(CRC)、溶融亜鉛めっき鋼板(HDG)の価格がこの目標によって刺激されていないと指摘します。スポット市場での高在庫と需要回復の遅れが、これらの鉄鋼製品の価格を抑制しています。一部のアナリストは、年間目標の伸び率が上半期の実績を下回ることから、年末までの鉄鋼需要に対する弱気な見通しを持っています。
新エネルギー車(NEV)がもたらす新たな需要
一方で、新エネルギー車(NEV)の販売目標引き上げは、**電磁鋼板(電気鋼板)**の需要を長期的に支える可能性があります。今年1月から8月までのNEV生産台数は963万台で、前年比37.3%増を記録しました。この成長は、電磁鋼板生産ラインへの投資を促しています。ただし、新規生産能力の増加により供給過剰状態が続き、価格競争は避けられない状況です。専門家は、2025年に新たに稼働する無方向性電磁鋼板(NGOES)の生産能力が300万トンを超えるとの試算を示しています。需要の拡大にもかかわらず、価格は徐々に下落傾向にあります。
金属フォーカス 編集部コメント
中国の自動車販売目標は、特にNEV市場の成長性を示唆します。しかし、従来の自動車用鉄鋼製品と異なり、電磁鋼板市場は供給過剰の圧力に直面しています。この乖離は、鉄鋼メーカーが直面する構造的課題を浮き彫りにします。NEV市場の動向は、今後の鉄鋼産業における投資と技術革新の方向性を左右する重要な指標となるでしょう。