アングロ・アメリカンとテックの統合:チリの銅鉱山に生まれるシナジー効果

Anglo american and teck


アングロ・アメリカンテックの合併計画が、チリ北部にある二つの主要鉱山におけるインフラ共有への期待を再燃させています。この統合は、中堅鉱山会社2社を世界のトップティアへと押し上げます。アナリストは、この計画がスイスの資源大手グレンコアの承認を得る上で課題に直面すると指摘しています。


コジャワシ鉱山とケブラダ・ブランカ鉱山のシナジー

今回の合併計画の要は、チリのコジャワシ鉱山とケブラダ・ブランカ鉱山における事業統合です。グレンコアは、世界最大級の鉱床であるコジャワシにアングロ・アメリカンと並び44%の権益を保有しています。一方、ケブラダ・ブランカはカナダの鉱山会社テックが所有する主力鉱山です。アングロ・アメリカンとテックは、両鉱山をベルトコンベアで連結し、コジャワシの良質な鉱石をケブラダ・ブランカの処理施設で加工する計画を立てています。このアングロ・アメリカンとテックの合併によるシナジー効果は、年間8億ドルのコスト削減と17.5万トンの増産を見込んでいます。


グレンコアの承認が鍵

この事業統合には、グレンコアの協力が不可欠です。しかし、評価額、供給契約、利益分配、ガバナンス構造など、グレンコアにとって重要な問題が山積しています。特にケブラダ・ブランカは、コスト超過や採掘廃棄物の問題に直面しており、生産目標の下方修正を余儀なくされました。アングロ・アメリカンCEOのダンカン・ワンブラッドは、グレンコアが以前から両鉱山のインフラ共有に強い関心を示していたと述べています。一方で、グレンコアの承認は、ケブラダ・ブランカの事業価値評価にかかっているという見方もあります。


金属フォーカス 編集部コメント

アングロ・アメリカンとテックの統合は、銅需要の拡大を見据えた戦略的な動きです。コジャワシとケブラダ・ブランカの事業統合は、単なる効率化を超え、銅生産における新しいビジネスモデルを提示する可能性があります。しかし、複数の権益者が絡む巨大プロジェクトの実現には、複雑な利害調整が求められます。この合併が、業界全体の協業トレンドを加速させるかどうかに注目が集まります。


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