ウクライナのコークス輸入、ポーランド製品が供給を牽引

Ukraine Steel


2025年1月から8月にかけて、ウクライナの鉄鋼メーカーはコークスおよび半コークスの輸入量を前年同期比で6.1%増加させ、合計で433,510トンに達しました。特に8月の輸入量は68,840トンを記録し、これは今年最大の月間輸入量です。この統計は、ウクライナの鉄鋼生産が原料確保を輸入に大きく依存している現状を明確に示しています。

輸入元の内訳を見ると、ポーランドが圧倒的なシェアを占めています。同期間中、ポーランドからの供給は397,170トンに上り、全体の大部分を占めました。この他にインドネシアから27,670トン、チェコ共和国から8,630トンのコークスが輸入されました。ウクライナにとって、ポーランドは地理的な近接性だけでなく、信頼できる供給国として非常に重要な役割を果たしています。2025年に入り、ポクロフスク炭鉱グループの操業停止を受けて、輸入依存度はさらに高まる見込みです。

長期的な視点で見ると、ウクライナ国内のコークス製造能力は大幅に低下しています。2013年から2024年にかけて、原料である原料炭の生産は74%、コークス生産は85%も減少しました。国内の主要な鉱山やコークス化学工場は現在、一部の紛争地域に位置しています。このため、ウクライナの鉄鋼業界は、生産を維持するために年間320万トンのコークスを必要としており、輸入比率が20%を超える状況です。メトインベスト・グループのような大手企業も、安定的な供給確保のため米国からの原料炭輸入を開始しており、今後の動向が注目されます。


金属フォーカス 編集部コメント

ウクライナのコークス輸入増加は、国内生産能力の構造的な問題を示唆しています。ポーランドからの供給は安定しているものの、地政学的なリスクや国際市場の価格変動は常に存在します。将来的には、国内産業の復興と並行して、輸入先のリスク分散や多様化が課題となるでしょう。


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