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Harmony Gold Mac Copper |
南ア大手金鉱企業がオーストラリアでの銅資源確保を加速
南アフリカ最大手の金鉱企業である**ハーモニー・ゴールド(Harmony Gold)**は、**MACカッパー(MAC Copper)**の買収に関し、オーストラリア外国投資審査委員会(FIRB)から最終的な承認を取得しました。これにより、本件10億ドル規模のM&A取引は、すべての主要規制機関からの許可を完了しました。MACカッパーのCEOであるミック・マクマレン氏は「取引実行に向けた重要な一歩」と述べています。
取引は5月末に発表され、ハーモニーはMAC株を1株あたり12.25ドル(当時比20%のプレミアム)で買収し、総額で約10億3,000万ドルの案件となります。現在、MAC株はニューヨーク証券取引所で12.14ドル前後で取引され、時価総額はおおよそ10億ドルに達しています。
ハーモニー、銅資源へのシフトを鮮明に
この買収は、ハーモニー・ゴールドが金中心の資産構成から、重要鉱物である銅へのポートフォリオ転換を進める戦略的動きです。MACの主力資産であるCSA銅鉱山(ニューサウスウェールズ州)は、豪州で最も高品位の銅鉱山の一つであり、150年の歴史を持つ老舗鉱山です。鉱床の深さは1.9kmに達し、国内屈指の深部坑内掘鉱山として知られています。
CSA鉱山は元々グレンコアが所有しており、MACは2022年3月に11億ドルで取得しました。これにより、ハーモニーは2022年に参入したクイーンズランド州のエヴァ銅プロジェクトに続き、オーストラリアにおける銅資産の確固たる足場を築きつつあります。
年間10万トンの銅生産体制を目指す
ハーモニー・ゴールドは、CSA鉱山およびエヴァプロジェクトを合わせ、今後5年間で年間10万トンの銅生産を実現する方針です。これは、同社にとって金以外の基幹事業となる初の本格的な非鉄金属セグメントとなります。
なお、最終的な買収完了には、MAC株主による承認、一定の再編条件の充足、裁判所の認可が必要となります。株主総会は8月29日にジャージーおよびオンラインで開催予定です。
金属フォーカス 編集部コメント
ハーモニー・ゴールドの動きは、鉱業界における**「金から重要鉱物への資産多角化」**のトレンドを象徴しています。特に、銅はエネルギー転換と電動化の要として世界的に需要が拡大しており、本買収によりハーモニーは脱・金依存を加速させる見込みです。豪州銅資源へのアクセス確保は、同社の将来戦略における大きな一歩となるでしょう。