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Trump reciprocal tariffs |
トランプ米政権、「互恵的」関税発動を延期:グローバル貿易摩擦の行方
トランプ米政権は、当初7月9日に予定していた「互恵的」関税の発動を8月1日に延期しました。この決定は、グローバルな貿易情勢に大きな影響を与えるものです。米国は14カ国に対し、新たな関税率を詳述した書簡を送付しました。これにより、各国は来月からの新たな貿易環境に直面します。
ホワイトハウスの声明によると、一部の国々では4月2日に発表されたよりも低い関税率が適用される一方、他国では従来の税率を上回る可能性があります。特に日本(新税率25%)と韓国(25%)は、米国からの書簡を受け取った国に含まれます。さらに、南アフリカ(30%)、カザフスタン(25%)、マレーシア(25%)、インドネシア(32%)、タイ(36%)なども対象となっています。これらの**「互恵的」関税**は、自動車や鉄鋼、アルミニウムといった既存の産業別関税とは別に適用されます。
トランプ大統領は、この期限が「100%ではない」と述べ、交渉の余地があることを示唆しました。同大統領は、日本と韓国への書簡で、もし相手国が関税を引き上げるならば、米国が課す25%の関税にその分が上乗せされると警告しました。日本と韓国は、米国との交渉継続の意向を表明しています。特に日本は貿易協定の締結に向けた取り組みを進めていますが、7月20日の参議院選挙が交渉に影響を与える可能性もあります。欧州連合(EU)は米国との暫定的な貿易協定締結を目指しており、これにより8月1日以降も10%の関税率を維持する方針です。
金属フォーカス 編集部コメント
今回の「互恵的」関税の延期は、米国が各国との二国間交渉を通じて、より有利な貿易条件を引き出そうとする戦略の一環と見られます。特に鉄鋼やアルミニウムといった基幹産業の素材に依存する製造業にとって、関税の変動はサプライチェーンやコスト構造に直結する課題です。今後の交渉の行方は、グローバルな産業構造に大きな波及効果をもたらすでしょう。