鉄鉱石価格、100ドル超え回復:中国政策と市況の交錯

Iron Ore Prices


鉄鉱石価格、100ドル超え回復:中国政策と市況の交錯

2025年7月初旬、鉄鉱石価格は2ヶ月ぶりの高値となる100ドル超えを回復しました。特に6月30日から7月4日の週には、大連商品交易所(DCE)の9月限鉄鉱石先物が2.3%上昇し、1トンあたり102.2ドルを記録しました。また、シンガポール取引所の8月限契約も1.6%高の96.15ドルで評価されています。


価格上昇の背景と中国の影響

今回の価格上昇は、ファンダメンタルズ要因と投機的要因の複合的な影響を受けています。一時的な海上出荷量の減少に加え、中国からの新たな景気刺激策への期待からトレーダーが積極的に購入したことが市場にポジティブな勢いをもたらしました。さらに、週半ばに開催された中国共産党中央財経委員会第6回会議の結果も寄与しました。この会議では、過剰な鉄鋼生産能力と非効率な競争への対策が表明され、鉄鉱石価格の上昇を後押ししました。


市場の不確実性と今後の見通し

中国政府が老朽化した生産設備の削減と製品品質の向上を目指す意向を示した後、トレーダーはより安定した原材料需要構造を期待し始めました。これはスポット市場の活動にも反映されています。しかし、市況は依然として不確実性を抱えています。週前半には、中国の主要な冶金産業地域である山西省と唐山市での鉄鋼生産制限に関するニュースが流れ、一時的に価格が下落しました。規制の規模に関する公式確認はなかったものの、市場はこれらのシグナルに慎重に反応し、センチメントを一時的に押し下げました。短期的に見ると、中国における高水準の銑鉄生産量が維持されれば、標準的な62% Fe鉱石の鉄鉱石価格は95〜100ドル/トンの範囲で推移する可能性があります。しかし、中期的リスクは、建設需要の季節的低迷と政府支援の期間に関する不確実性に関連しています。ムーディーズは今後12〜18ヶ月間、鉄鉱石価格が80〜100ドル/トンで推移すると予測しており、これは中国からの需要低迷と世界市場における高い供給量によるものです。


金属フォーカス 編集部コメント

今回の鉄鉱石価格回復は、中国政府の政策意図が市場心理に強く影響を及ぼすことを改めて示唆します。過剰生産能力削減の動きは、短期的な生産調整を通じて価格を押し上げる可能性がありますが、長期的な需要構造の変化と供給過剰の課題は依然として残ります。今後の中国の景気刺激策と産業構造改革の進捗が、グローバルな金属・重要鉱物市場に決定的な影響を与えるでしょう。


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