サウス32、セロ・マトソニッケル鉱山売却でポートフォリオを再構築:銅・亜鉛へのシフトを加速

Cerro Matoso Nickel Mine


オーストラリアの大手鉱業会社サウス32は、コロンビアのセロ・マトソフェロニッケル鉱山CoreX Holdingに売却することで合意しました。この取引は最大1億ドルに上り、サウス32がグリーンエネルギー移行に不可欠な亜鉛といった高マージン金属への投資を強化する戦略の一環です。今回の売却は、ニッケル市場の構造的変化と価格下落に対応する動きと見られます。


ニッケル市場の動向とサウス32の戦略的転換

ニッケル生産者は、インドネシアからの供給急増に起因する急激な価格下落に直面しています。例えば、世界最大の鉱業会社であるBHPは、2024年7月にニッケル価格の暴落と世界的な供給過剰を理由に、西オーストラリア州のニッケル事業を10月に停止すると発表しました。サウス32もまた、2025年3月までの9カ月間でニッケル生産量が6%減少しています。この厳しい市場環境下で、サウス32はセロ・マトソフェロニッケル鉱山の売却を通じて、ポートフォリオの合理化を図ります。この戦略は、同社が将来の成長ドライバーとして銅と亜鉛を重視していることを明確に示しています。


CoreX Holdingのニッケル戦略と今後の展望

CoreX Holdingは、今回のセロ・マトソフェロニッケル鉱山の取得により、グローバルなニッケル生産拡大戦略を推進します。CoreX Holdingはすでに、北マケドニアのGolden Eagle Nickel、コソボのNewCo Ferronikeli、そして最近取得したコートジボワールのCompagnie Minière du Bafingなど、複数のニッケル資産を保有しています。この買収は、CoreX Holdingにとってニッケル事業をさらに強化する重要な一歩となるでしょう。一方、サウス32は2025年度に1億3000万ドルの減損損失を計上しますが、これは基礎収益から除外されます。この取引は、合併承認と企業再編を経て、2025年後半に完了する見込みです。


金属フォーカス 編集部コメント

今回のサウス32によるニッケル鉱山売却は、重要鉱物市場における戦略的なポートフォリオ再編の加速を示唆します。特に、ニッケル市場の構造変化に対応し、脱炭素化に不可欠な銅や亜鉛への投資を強化する動きは、他の大手鉱業会社にも波及する可能性があります。この傾向は、今後のグローバルなサプライチェーンや投資動向に大きな影響を与えるでしょう。


コメントを投稿