銅鉱山生産量、今後10年で年平均2.9%増へ:BMI予測が示す成長軌道

Global Copper production


フィッチ・ソリューションズのBMIが発表した新たなレポートによると、世界の銅鉱山生産量は今後10年間で年平均2.9%増加する見込みです。具体的には、2025年の2,380万トンから2034年には3,090万トンへと拡大します。BMIは、この生産量増加は、歴史的な高銅価格と前向きな需要見通しに支えられた、複数の新規プロジェクト稼働と既存プロジェクトの拡張によると分析しています。


主要生産国と新規プロジェクトが牽引する銅鉱山生産量の成長

BMIは、2025年の世界の銅鉱山生産量が2.5%増加すると推定しています。これは、チリでの生産回復と、モンゴルの巨大なオユ・トルゴイ鉱山の操業本格化によるものです。加えて、ペルー、ロシア、ザンビアも主要な貢献国であり続けるでしょう。フィッチの部門は、国際銅研究グループのデータを引用し、1月から4月の期間に前年比2%の生産量増加があったと指摘しています。これは、ペルーのラス・バンバス、ケジャベコ、トロモチョ鉱山、コンゴ民主共和国のカモア・カクラ鉱山、そして前述のオユ・トルゴイ・プロジェクトの増産に支えられました。


チリが銅サプライチェーンのリーダーを維持:課題と長期展望

しかしながら、2025年の成長予測は、最近の地震活動によって影響を受けたカモア・カクラ鉱山の生産ガイダンス下方修正を反映して下方修正されました。フィッチの部門は、グレンコアやアングロ・アメリカンなどの大手鉱山会社が示す下振れリスクにも言及しています。それでも、最大生産者であるコデルコを含む多くの企業は、世界の生産量増加を支持する前向きな見通しを立てています。地域別に見ると、BMIはチリが銅サプライチェーンにおいて支配的な力を維持すると予想しています。同国の生産量は2025年に3%増加し、570万トンに達し、世界の鉱山生産量の4分の1を占める見込みです。チリの生産量増加の主要な要因は、テック社のケブラダ・ブランカ鉱山での継続的な操業本格化であり、これが国営コデルコが直面する一部の課題を相殺するでしょう。長期的には、チリの見通しは「今後数年間でセクターへの投資を制限する可能性のあるさまざまな要因があるにもかかわらず」依然として前向きであるとBMIは述べています。同国の広大な重要鉱物埋蔵量が、グリーンエネルギー転換の加速に伴う需要増加とともに、将来の投資を促すでしょう。コンゴ民主共和国も3%の成長が見込まれますが、カモア・カクラ鉱山の生産ガイダンス下方修正により下振れリスクが残ります。一方、ペルーは2024年の1%減少から回復し、3.2%の成長が予測されています。


金属フォーカス 編集部コメント

世界の銅鉱山生産量の安定的な増加予測は、電動化や再生可能エネルギー移行に伴う銅需要の堅調な伸びを背景としています。特にチリの優位性と、アフリカや南米における新規プロジェクトの動向は、重要鉱物の安定供給を巡るグローバルな競争において極めて重要です。地政学リスクや環境規制強化が生産に与える影響を注視しつつ、技術革新による生産効率向上とリサイクル材の活用が、将来の銅サプライチェーンの安定性を左右する鍵となるでしょう。


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