米国レアアース精錬企業フェニックス・テイリングス、IPO計画を発表

Phoenix Tailings rare earth elements

米国の金属精錬企業フェニックス・テイリングスが、今後3年以内の新規株式公開(IPO)を目指しています。同社は自動車、医療機器、軍事装備に用いられるレアアース元素の生産工場を増設する計画です。最高経営責任者ニック・マイヤーズ氏は「これが我々の大きな目標だ」と意欲を語りました。


採掘廃棄物からのレアアース生産と拡大戦略

設立6年のフェニックス・テイリングスは、採掘廃棄物からのレアアース抽出に特化しています。レアアースは磁石、バッテリー、電子機器に不可欠な17種類の元素群です。マサチューセッツ州にある既存施設は年間40トンの生産能力を持ちます。加えて、ニューハンプシャー州の新工場が稼働し、初期生産能力は年間200トンです。これにより、数週間以内に生産量を大幅に引き上げる見込みです。共同創業者でもあるマイヤーズ氏は、将来的にはウエストバージニア州、ネバダ州、またはテキサス州に年間最大4,000トンを生産可能な大規模工場を建設する構想も持っています。同社はBMW AG、ヤマハ発動機、住友商事のベンチャーキャピタル部門から投資を受けており、米国エネルギー省からの資金提供も得ています。


中国の独占に対抗する北米のレアアース戦略

北米ではレアアースに注力する企業が急増しています。米国とその同盟国は、現代社会を支えるこれらの重要素材の世界的なサプライチェーンにおける中国のほぼ独占状態に対抗しています。中国は世界のレアアース埋蔵量の約半分を占め、採掘量の約70%を担っています。フェニックス・テイリングスの取り組みは、北米におけるレアアース精錬能力を強化し、供給網の多様化と安定化に大きく貢献するでしょう。


金属フォーカス 編集部コメント

フェニックス・テイリングスのIPO計画は、米国が戦略的鉱物であるレアアースの国内供給網構築に本腰を入れている明確なシグナルです。採掘廃棄物からの回収は環境負荷を低減し、持続可能な供給源を確保する上で重要です。この動きは、世界のレアアース精錬市場における地政学的リスクを分散させ、供給安定性向上に寄与するでしょう。

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