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Farsoon FS621M-Cu |
中国のファーソン・テクノロジーズが、大規模銅アディティブマニュファクチャリング装置FS621M-Cuを発表しました。この革新的な装置は、高度な反射性を持つ材料である銅クロムジルコニウム(CuCrZr)の安定した長期間造形を実現します。これにより、これまで製造が困難だった大型で複雑な銅部品の生産が可能になります。
高反射性材料に対応する先進技術と航空宇宙分野への応用
FS621M-Cuは、大型フォーマットのFS621Mをベースに、4基の1000Wイッテルビウムファイバーレーザーを統合しています。この構成が、銅のような高反射性材料の安定した溶融と積層造形を可能にします。造形サイズは620 x 620 x 1,100 mmと広大です。具体例として、液体ロケットエンジンの銅製スラスタチャンバーの開発が挙げられます。この重要部品は極端な温度、圧力、振動に耐えつつ、精密な再生冷却チャンネルを維持しなければなりません。従来の製造法は、スピニング、機械加工、ろう付けなど労働集約的で、高コストと長いリードタイムが課題でした。しかし、銅アディティブマニュファクチャリングはこの課題を克服します。
性能向上とコスト削減を実現するモノリシック造形
ファーソンは、FS621M-Cu装置が銅合金製スラスタチャンバーライナーのモノリシックなアディティブマニュファクチャリングを可能にすると説明します。このアプローチにより、組み立て工程が不要になり、熱伝達効率が向上し、エンジンの性能が改善されます。同時に、生産コストを削減し、開発サイクルを大幅に短縮します。ある航空宇宙顧客がFS621M-Cuプラットフォームを使用して製造した600 × 850 mmのスラスタチャンバーライナーは、理論密度に近い特性を示しました。気孔のない微細構造と345 W/(m·K)を超える熱伝導率が確認されています。X線スキャンは内部冷却チャンネルの精度を検証し、圧力損失の最小化とエンジン効率の最大化を実現しました。
金属フォーカス 編集部コメント
ファーソンによるFS621M-Cuの登場は、銅のような難加工材料におけるアディティブマニュファクチャリングの限界を押し広げます。特に航空宇宙産業や高熱伝導性が求められる分野において、設計の自由度向上と生産プロセスの革新をもたらすでしょう。この技術は、高機能部品製造における新たな標準を確立し、産業用マテリアル市場に大きな影響を与えます。