GM、キャデラックCELESTIQに130超の金属3Dプリント部品を採用

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超高級EVにおける積層造形の実用化が新たな製造モデルを提示

米ゼネラルモーターズ(GM)は、同社のウルトララグジュアリーEV「キャデラックCELESTIQ(セレスティック)」に、130点以上の積層造形(AM:Additive Manufacturing)部品を採用したことを明らかにした。
これはGM車両として過去最多の3Dプリント部品点数であり、高精度・高柔軟性が求められるカスタム受注車両においてAM技術が最適解となったことを示す。

中でも、ステアリングホイール中央部の金属製ベゼルは、GMの量産車における最大の金属AM部品。
レーザー粉末床溶融結合法(LPBF)によって製造された数少ない量産金属部品のひとつである。
この部品はスイッチを囲み、高級感ある外観仕上げを実現するため、従来の加工法では対応が難しかったとされる。

金属3Dプリントの安全部品採用も業界初水準

シートベルトの調整用ガイドループは、GM初の金属AMによる安全部品として注目を集めた。
この部品は従来複数部品で構成されていたが、AMにより一体化され、美観と強度を両立。
米国金属粉末工業会(MPIF)より、電動車両部門の「Award of Distinction」を受賞している。

CELESTIQ以外にも、キャデラックのVシリーズ・ブラックウィングなどでAM部品は導入済みであり、GMのモータースポーツ部門でも活用が進む。
これらのAM開発は、ミシガン州ウォーレンのGMテックセンター内「Additive Industrialization Center(AIC)」で行われ、同施設では20台以上の積層造形装置が稼働中だ。

経済性と機能要件を両立する場合にAM採用を判断

GMでは、部品ごとに「機能要件を満たすか、経済的に成立するか」を基準にAM採用を判断している。
CELESTIQではその両方をクリアし、従来製法では実現困難な部品設計と製造効率が達成されたという。

「従来の加工法では到達できない設計自由度をAMが可能にした」とGMアドバンストマニュファクチャリング担当技術スペシャリストのブレノン・ホワイト氏は語る。
今後、AMは高級車市場のみならず、EV全体の生産モデル革新に寄与する可能性が高まっている。

金属フォーカス編集部コメント

GMによるCELESTIQのAM活用は、金属積層造形が自動車産業の主流技術へと移行しつつあることを示している。特に金属3Dプリントの安全部品採用は、従来の信頼性懸念を乗り越えた象徴的事例だ。今後、製品カスタマイズと製造効率化の両立を目指す他OEMも、AMの採用を加速させるだろう。


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