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France Steel Production |
2025年5月、フランスの鉄鋼生産量は前年同月比で20.6%も減少し、80万トンとなりました。これにより、フランスは世界鉄鋼協会が発表する世界の鉄鋼生産国ランキングで17位に位置しています。前月と比較しても、製鋼量は10.4%減少しました。この急減は、フランス鉄鋼産業が直面する課題を鮮明に示しています。
フランス鉄鋼生産の年間動向と欧州の全体像
2025年1月から5月までのフランス鉄鋼産業の累計生産量は428万トンで、前年同期比2.8%減となりました。月平均鉄鋼生産量は85万6,600トンに落ち込み、前年の88万5,800トンを下回っています。加えて、欧州連合(EU)全体の鉄鋼生産量も2025年5月に前年同月比3.1%減の1,140万トンを記録し、1月から5月では同2.5%減の5,490万トンとなりました。この傾向は、フランスに限らず欧州全域で鉄鋼生産が軟調であることを示唆しています。一方で、2024年のフランス鉄鋼生産量は、2023年比で7.6%増の1,076万トンと回復を見せていました。これは2023年の大幅な落ち込み(17.5%減)からの巻き返しであり、2024年の月平均鉄鋼生産量は89万6,250トンでした。
フランス鉄鋼産業の主要プレーヤーと生産能力
フランスには、アースロルミッタル・ダンケルク(年間225万トン)、サールシュタール・アスコヴァル・サン=ソルヴ(年間73万トン)、LME・トリス=サン=レジェ(年間82万トン)、アスコメタル・アゴンダンジュ(年間82万5,000トン)、リヴァ・サム・ヌーヴ=メゾン(年間85万トン)、リヴァ・サム・モンテロー(年間72万トン)、リヴァ・アルパ・ガルジャンヴィル(年間70万トン)、リヴァ・イトン・セーヌ・ボニエール=シュル=セーヌ(年間55万トン)、セルサ・フランス・ブコー(年間120万トン)、アースロルミッタル・メディテラネ・フォス=シュル=メール(年間255万トン)、アスコメタル・フォス=シュル=メール(年間90万トン)など、合計11の製鉄所があります。これらの施設の総生産能力は年間1,209万トンに達します。フランスの鉄鋼生産の動向は、これら主要企業の操業状況に大きく左右されます。
金属フォーカス 編集部コメント
フランスの鉄鋼生産量急減は、エネルギーコスト高騰や需要の低迷、あるいは特定の製鉄所におけるメンテナンスなど複合的な要因が考えられます。欧州全体の生産量減少と併せて、欧州鉄鋼産業が厳しい局面に直面していることを示しています。この傾向が続けば、グローバルなサプライチェーンや原材料市場にも影響を及ぼす可能性があります。今後の動向を注意深く見守る必要があります。