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中国の鉄鋼 |
インドは12%のセーフガード関税で対抗、ASEANは対応に苦慮
2025年第1四半期、中国の鉄鋼輸出が前年比32%増の3,655万トンに達し、その約70%がASEAN地域向けであったことが明らかとなった。マレーシア(+71.3%)やベトナム(+68.5%)では急増する中国製鉄鋼製品が地場産業を圧迫しており、ASEAN鉄鋼委員会は危機感を強めている。
中国の鉄筋輸出は83.9万トン(+112%)、ワイヤーロッドは143万トン(+55%)、ビレットは144万トンで10倍増と著しい伸びを示しており、輸出超過が域内の中間財から最終財の生産・雇用にまで悪影響を及ぼしている。
背景には、中国が米中貿易摩擦で市場を失う中、ASEANを代替輸出先と位置付けていることがある。実際、2024年には中国からASEANへの輸出が前年比12%増、反対にASEANから中国への輸出は2022年以降3%減少しており、地域間の貿易不均衡が深刻化している。
これに対し、インド政府は中国製の非合金および合金鋼フラット製品に対し12%のセーフガード関税を2025年4月から200日間導入。インド商工省貿易救済総局の調査により、地場産業への損害リスクが確認されたための措置である。
ASEAN諸国は経済発展の恩恵を中国に依存してきたが、過剰生産による鉄鋼輸出圧力の中、経済と産業構造の立て直しが急務となっている。
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STEEL