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| Italy Hot Rolled Coil |
2026年、イタリア HRC 価格はEUの炭素国境調整メカニズム(CBAM)の財務段階移行と輸入規制強化により、上昇圧力が強まる見込みです。第三国からの供給コストと複雑性が増す中、排出データの検証状況が輸入フローに影響を与える可能性があります。
CBAMと輸入規制が価格形成に与える影響
欧州鉄鋼協会Euroferは、EUの実質鉄鋼消費量が2026年に1.1%増加すると予測しています。これは、2024年の-4.2%、2025年の-2.1%に続く回復傾向です。しかし、自動車需要の低迷で慎重な購買姿勢は続きます。加えて、CBAM費用や割当量管理が重要性を増すことで、輸入材料の原産地が購買判断における重要要素となります。
低CBAMかつ短距離輸入の原産地は国内価格に近い水準となる一方、高CBAM輸入品は割引幅を拡大せざるを得ません。さらに、ポスト・セーフガードメカニズムによる比例的保護関税の適用が見込まれるため、価格差の調整圧力は強まります。
CBAM準拠と信頼性が競争力を左右
輸入業者は、供給者がCBAM検証済みであることを示せるかどうかで購買判断を左右します。排出報告体制が整っていない製鋼所は信頼性低下に直面する一方、透明性の高いプロセスを持つ企業は価格プレミアムを享受できます。規制リスクの高まる市場では、信頼性と準備状況が価値要因として浮上しています。
一方、国内イタリア製鋼所は輸入コスト優位性が低下する中で、2025年平均価格を上回るプレミアムを維持する可能性があります。2025年のArgusイタリアHRC ex-works評価は平均583.71€/tで推移し、輸入調整やCBAM期待によって10月には608.75€/tまで回復しました。
2026年、イタリア HRC 価格は需要だけでなく、規制対応と輸入リスク低減へのプレミアムによって、2025年より高値で取引される可能性があります。
金属フォーカス 編集部コメント
CBAM対応はイタリアHRC市場の価格形成に直結します。輸入原産地と検証済み供給者の重要性が増し、国内製鋼所は相対的な競争優位を得る見込みです。長期的には、透明性と低炭素対応が価格プレミアムを決定する鍵となるでしょう。


