トマゴアルミニウム製錬所の長期運営を支援:リオティントとオーストラリア政府の連携

Rio tinto tomago aluminium smelter


オーストラリア政府は、リオティントトマゴアルミニウム製錬所(年産60万トン)の2028年以降の長期運営を支援する方針を示しました。政府と企業は長期電力購入契約(PPA)を軸に協議を進めます。


長期電力契約と投資による安定化

リオティント傘下のトマゴアルミニウムは、連邦政府およびニューサウスウェールズ州政府と協力し、2028年以降の製錬所運営を支えるエネルギーソリューションを検討します。政府は固定価格の電力購入契約と、トマゴアルミニウムによる10年間で10億オーストラリアドル(約6億7,000万米ドル)の投資を含む支援を表明しました。

同国の産業・イノベーション担当大臣ティム・エアーズ氏は、「長期的な電力購入契約は、トマゴの産業的未来への投資継続に資する」と述べています。一方、契約の詳細については明言を避けました。


エネルギーコスト課題と生産状況

リオティントは、既存電力契約が2028年に終了する際、エネルギーコストの高騰によりトマゴの閉鎖の可能性を警告していました。2022年以降、新たなエネルギー供給策を模索していたものの、当初は解決策が見つかりませんでした。2025年1月から9月までの期間、トマゴ製錬所は年間426,000トンのアルミニウムを生産し、前年同期比で2.2%減少しましたが、通常運転を維持しています。


政府の産業政策と国内支援の広がり

オーストラリア政府は、トマゴへの支援のほか、ワイアラ製鉄所、グレンコアのクイーンズランド銅事業、ナイスタルの鉛・亜鉛製錬所などへの支援も実施しており、国内労働者の経済条件を維持・強化することを目的としています。また、タスマニア州のベルベイ製錬所(年産19万トン)に対する低炭素生産補助金の支援も検討されており、リオティント製錬事業への政府支援はさらに拡大する可能性があります。


金属フォーカス 編集部コメント

トマゴ製錬所への政府支援は、オーストラリア国内のアルミニウム供給安定化に直結する重要な施策です。固定価格PPAと設備投資による長期運営は、リオティントの事業リスクを低減し、国際アルミ市場への影響も注目されます。今後、同国の低炭素政策と電力契約が産業競争力に与える影響にも注目が必要です。

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