| Ionic mineral technologies silicon ridge |
米国ユタ州で、Ionic Mineral Technologies(Ionic MT)が画期的な重要鉱物鉱床を発見しました。シリコンリッジ・プロジェクトにおける調査により、レアアースやガリウム、リチウム、タンタルなど16種類以上のクリティカルマテリアルが含まれることが確認され、北米最大級の鉱床として注目されています。
IAC鉱床の特性と採掘優位性
Ionic MTは、シリコンリッジ鉱床がハロイサイトを母体とする「IAC(イオン吸着粘土)」型であることを明らかにしました。IAC型鉱床は従来の硬岩型鉱床に比べ、採掘が容易で環境負荷が低く、迅速な生産開始が可能です。実際、中国のレアアース生産の35〜40%、重希土類の70%以上が同様の地質から供給されています。
さらに、Ionic MTは今回の鉱床を「IAC-Plus」と位置付け、レアアースに加えてガリウム、ゲルマニウム、ルビジウム、セシウム、スカンジウム、リチウム、バナジウム、タングステン、ニオブなど多様なクリティカルマテリアルの高品位資源を確認しました。
商業生産への即応体制と戦略的意義
Ionic MTは、既存の74,000平方フィートの加工施設を活用し、垂直統合型ビジネスモデルで「クリティカルマテリアル」「高純度アルミナ」「ナノシリコン」の3つの高付加価値製品を生産可能です。これにより、最大限の資源価値を引き出すとともに、米国内でのコスト競争力あるサプライチェーンを構築できます。
同社CEOのAndre Zeitoun氏は、「これは単なる鉱山ではなく、地区全体が資源源だ」と述べ、米国の資源自立と戦略的安定供給に大きな意義があると強調しました。PEA(予備経済評価)は2026年前半に完了予定で、シリコンリッジプロジェクトは短期間での商業生産への移行が見込まれます。
金属フォーカス 編集部コメント
今回のユタ州の重要鉱物発見は、米国内のクリティカルマテリアル供給の安定化に直結する可能性があります。特に、IAC型鉱床による迅速かつ環境負荷の低い採掘は、国内製造業や防衛技術分野への波及効果が大きいと考えられます。今後の資源拡張とPEA結果次第で、米国の戦略的資源自給率向上に寄与するでしょう。

