2026年欧州銅市場:供給逼迫とプレミアム上昇の展望

Europe Copper Market


2025年の欧州銅市場は、価格・物流・地政学の要素が複雑に絡み合い、単純な供給不足や余剰の構図では説明できませんでした。2026年には、欧州向けの銅供給逼迫が予想され、プレミアムの上昇が続く可能性があります。


2025年の市場動向と課題

2025年、ロンドン金属取引所(LME)3か月物銅価格は1トンあたり11,000ドルを超え、12,000ドルに迫る局面もありました。表面的には主要鉱山の操業停止や電力網・データセンター向け需要の増加による供給不足が要因に見えました。しかし、実態はより複雑です。中国の消費は年後半に急減速し、欧州の製造活動も低迷しました。それでも価格は上昇を続け、最終需要の急増ではなく、地政学的・物流的要因による需給の再編が影響しました。

特に米国向けの銅需要が価格を押し上げました。米国の精錬銅輸入関税の可能性により、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)価格がLMEより高水準を維持し、LME在庫が米国に流出しました。この結果、欧州では在庫が不足し、スポットやタームプレミアムが急騰しました。


LME-CME裁定取引と欧州の供給逼迫

LME-CMEの裁定取引は、金利差、通貨変動、物流コスト、倉庫アクセス、米国貿易政策など複数要因で左右されます。CME価格がLMEより数百ドル高い状態が続く限り、金属は米国市場へ流れ、欧州の供給逼迫が継続します。2026年前半には関税リスクにより、米国への流入が一層加速し、欧州の供給タイト化が進む可能性があります。

主要生産者は2025年の経験を踏まえ、2026年の欧州向けプレミアムを引き上げました。チリのコデルコは約40%増の中期プレミアムを提示し、Aurubisも同水準でオファーしています。結果として欧州スポット市場も新たな基準値に沿った高水準を維持する可能性があります。


グローバル需給と欧州の課題

主要銀行の見通しでは、2026年の世界銅市場は依然として供給過剰と予測されています。ゴールドマンサックスは16万トンの余剰、平均価格は10,000~11,000ドル/トンとしています。一方で国際銅研究グループは15万トンの不足可能性も指摘し、市場は注視が必要です。つまり、グローバルには供給余剰が存在しても、欧州ではタイミングや場所によって供給逼迫が起こり得ます。

欧州にとっての重要な教訓は、余剰銅が必ずしも必要な時に必要な場所に届くとは限らない点です。2026年も2025年同様、世界全体ではバランスまたは余剰がある一方で、欧州では局所的なタイト化が繰り返される可能性があります。


金属フォーカス 編集部コメント

欧州銅市場は、裁定取引と地政学的要因により局所的な供給逼迫が続く見込みです。投資家やメーカーは、欧州向けプレミアムの上昇や物流リスクを注視すべきです。また、米国関税政策の動向が中期的な価格形成の重要要因となるでしょう。


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