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| Indonesia MHP |
インドネシアのMHP(混合水酸化物沈殿物)生産は、今後のニッケル市場を左右する重要な要因となっています。2025年、インドネシアのMHP生産量は前年から約50%増加し、ニッケルメタル換算で48万2,000トンに達すると予測されています。高騰するコバルト価格と有利な生産経済性に支えられ、2026年にはさらに拡張が見込まれます。
MHP生産拡大と価格への影響
インドネシア MHP ニッケル市場は、供給拡大が需要増加を上回ることで、2026年もニッケル価格を低水準に抑える可能性があります。世界の電気自動車(EV)市場成長率は2024年の26%から2025年には23%に減速しており、ニッケル需要の伸びは鈍化しています。さらに、ニッケルを使用しないリン酸鉄リチウム電池や高マンガン系電池の競争が激化し、ニッケルの供給過剰が価格を圧迫する要因となります。
インドネシアは、西側諸国のMHP工場が2023年末に相次いで停止したことを背景に、世界最大のMHP供給国としての地位を確立しました。国内には約10の稼働プロジェクトがあり、中国企業の寧波雷競(Ningbo Lygend)、GEM、Huayouと、現地のMerdeka、Harita Nickel、PT Vale Indonesia(PTVI)が主要なプレイヤーです。
コバルト価格とMHP投資の魅力
インドネシア MHP ニッケル市場の拡大を後押しするもう一つの要因は、コバルトの付加価値です。MHPには通常2〜5%のコバルトが含まれ、コバルト副産物の販売は生産コストを効果的に引き下げます。MHPの総コストはニッケルメタル換算で1万3,500〜1万4,500ドルですが、コバルト収益を考慮すると実質コストは1万1,500〜1万2,500ドルに低下し、NPI(ニッケル鉱石)よりも収益性が高くなります。このため、HPALプロジェクトを含むMHP新規投資は今後も継続する見通しです。
市場見通しと政策動向
2026年にはインドネシアのMHP生産能力は86万2,000トンに達すると予想され、これによりグローバルなニッケル供給過剰が一層深刻化します。2025年の供給過剰は21万2,000トンとされ、翌年には28万8,000トンに増加する見込みです。インドネシア政府は鉱山再生計画や森林許可の未整備を理由に一部鉱山を停止するなど供給調整を試みていますが、価格にはまだ顕著な影響を与えていません。
金属フォーカス 編集部コメント
インドネシア MHP ニッケル市場の急拡大は、世界の電池用ニッケル価格に長期的な下押し圧力を与えます。投資家は供給過剰リスクを考慮しつつ、コバルト副産物収益を活用した収益性の高いMHPプロジェクトを注視すべきです。また、政府規制の動向は中期的な価格変動の鍵となるでしょう。


