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| EU aluminum scrap export regulations |
欧州委員会は、欧州のアルミニウムリサイクル産業への安定供給を確保するため、EU アルミニウムスクラップ輸出規制の導入に向けた準備を開始しました。経済・貿易担当のマロシュ・セフコビッチ委員は、ブリュッセルで開催されたEuropean Aluminiumサミットで、この新規制が2026年春までに採択される可能性が高いと発表しました。
欧州の産業団体は以前からアルミニウムスクラップの流出対策を求めてきました。特に米国が一次アルミニウム輸入に対して25%の関税を課したことで、米国の半製品メーカーがスクラップ使用を増やす動きが加速しています。その結果、欧州からのアルミニウムスクラップ輸出が増加し、供給不安が懸念される状況となっています。
欧州アルミニウム協会(European Aluminium)とアルミニウム・ドイチュラントは、2024年3月に輸出関税などの措置を講じ、欧州内のスクラップ供給を確保するよう求めました。さらに、米国の関税引き上げを受け、同協会は規制導入の必要性を再度訴えました。2024年にはEUと英国から約160万トンのアルミニウムスクラップが輸出され、2019年比で約60%増加しています。
今回のEU アルミニウムスクラップ輸出規制の具体的手法はまだ決定していません。全面禁止ではなく、輸出関税や輸出割当の可能性が検討される見通しです。欧州委員会は今後、公的な意見募集と証拠収集を経て最終決定を下す方針です。欧州の主要企業はこの動きを歓迎しており、アルミニウムスクラップ市場の安定化に期待を寄せています。
金属フォーカス 編集部コメント
EUの規制は欧州内のアルミニウムリサイクル産業を保護し、サプライチェーンの安定化につながります。これにより、国際市場での競争力強化と米国関税への戦略的対応が可能となり、長期的には循環型経済の推進にも寄与するでしょう。


