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Congo Mineral Smuggling |
国連専門家グループの報告書は、コンゴ民主共和国(DRC)東部から隣国ルワンダへの鉱物密輸が「前例のない」レベルに達したと指摘します。ルワンダが支援するM23反乱軍による広範な地域占領が、この違法取引を助長しています。この深刻なコンゴ鉱物密輸問題は、世界の重要鉱物サプライチェーンに大きな影響を与えています。
この違法な取引は、特にスズ、タンタル、タングステンの合法的な輸出を危機に瀕させています。報告書によると、密輸された鉱物はルワンダ国内の生産物と混ぜられ、「ルワンダ産」として洗浄されています。これにより、鉱物のトレーサビリティと信頼性が深刻に脅かされています。米国地質調査所によれば、昨年、ルワンダとコンゴはエレクトロニクスに用いられるタンタルの世界生産量の約60%を占めました。これは、このコンゴ鉱物密輸問題がグローバルな産業に直接的な影響を与えることを示します。
国連専門家は、ルワンダ軍がM23の拡大と新たな領土占領に「決定的な役割」を果たしたと文書化しています。ルワンダの目標はDRCの領土とその天然資源を「支配すること」と報告書は指摘します。広範な密輸はDRC東部全域で横行し、特に金の取引は多数の武装勢力や周辺国を支援しています。ルワンダ当局は、コンゴからの密輸鉱物を隠蔽するため、スズ、タングステン、タンタルの国内生産量を水増ししています。このコンゴ鉱物密輸問題は、責任ある鉱物調達に関するデューデリジェンスガイドラインを著しく侵害しています。
金属フォーカス 編集部コメント
今回の国連報告は、紛争鉱物問題の根深さを改めて浮き彫りにしました。鉱物サプライチェーンの透明性確保は、企業にとって喫緊の課題です。特にタンタルやスズ、タングステンといった重要鉱物の調達においては、原産地のデューデリジェンスとトレーサビリティの強化が不可欠です。この問題は、ESG投資や企業倫理の観点からも、投資家やメーカー、政策担当者が協力して取り組むべきグローバルな課題と言えます。