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EUは3年延長決定、米加も免税継続なければ最大30%の減産懸念
ウクライナの大手鋼管メーカーInterpipe(インターパイプ)のDenys Morozov副CEOは、EUによるウクライナ製鉄鋼製品の免税措置延長が「中期的に極めて重要」であると強調した。同措置は2022年以降、ロシアによる侵攻下で欧米が支援として導入し、EUはこのほどさらに3年間の延長を決定した。
Morozov氏は「この措置により、多くのウクライナ鋼管メーカーが操業継続と雇用維持が可能となった」とし、前線都市ニコポリにあるInterpipe Niko Tubeが年間約20億フリヴニャ(約77億円)を納税している事実を紹介した。
米国の232条関税復活は「重大な打撃」
しかし、米国による25%の鉄鋼関税(通称:232条)復活がウクライナ業界に大きな打撃を与えている。Morozov氏は「Interpipeの輸出の約3分の1が米市場向け」であり、「この関税が継続すれば、事実上アメリカ市場を失う」と語った。米国市場では依然として鋼管の供給不足が続いており、関税維持は「米国内ユーザーにも悪影響」を及ぼすと警告している。
ウクライナ政府は、米国との自由貿易協定(FTA)交渉を模索しており、通商代表Taras Kachka氏によれば、25%関税撤廃に向けた対話は「初期段階」にあるという。
カナダのアンチダンピング措置も大きな壁
さらに、カナダのウクライナ鋼材免税措置が6月初旬に期限切れを迎える見通しであり、Morozov氏は「このままでは37.4%の反ダンピング関税が課され、実質的に輸出不可能になる」と強調。ウクライナ政府に対し、EUと同様に3年間の延長措置をカナダに要請するよう期待を示した。
もし米加市場を失えば、「EU市場だけでは損失を補えず、特に鋼管業界では生産の30%縮小が避けられない」とし、ウクライナ鉄鋼産業の「生存がかかっている」と訴えている。
R&Dと投資で欧米市場に踏みとどまる
それでもMorozov氏は「新製品開発と研究開発(R&D)が鍵」とし、「Interpipeは今後も欧米市場での存在感を維持・拡大できる能力がある」と自信をのぞかせた。
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STEEL