ホンダ、米国での自動車生産拡大で高関税の影響を軽減へ

Honda


日本の自動車メーカーであるホンダは、米国での自動車生産拡大を計画しています。この戦略は、米国が日本車に課す高関税の影響を軽減することが目的です。同社は、現在の貿易構造が長期的に継続する可能性に備える必要性を感じています。


高関税がホンダの業績を直撃

ホンダは、今年4月から6月期の営業利益が前年同期比で約50%減少し、2,440億円となりました。この大幅な減益は、米国による高関税の影響が約1,250億円に及んだことが主因です。藤村英司CFOは、トランプ政権下の高関税体制が「新しい常態」になる可能性を指摘しました。日米両国は先月、関税率を25%から15%に引き下げる貿易協定を締結しました。しかし、これはトランプ政権発足前の2.5%と比べると依然として大幅な引き上げです。このため、ホンダは米国での自動車生産拡大を急務としています。


米国での生産能力増強とサプライチェーンの現地化

ホンダは、米国工場の稼働率を上げることで生産量を増やす方針です。藤村CFOは、1日の勤務体制を2交代制から3交代制に増やすことで、追加の設備投資を最小限に抑えながら生産量を増やせると説明しました。特にハイブリッド車(HEV)向けに、バッテリー素材などの主要部品を現地で調達する取り組みも強化します。この動きは、サプライチェーンを現地化し、関税の影響をさらに減らすことを目的としています。ホンダは、米国での具体的な生産目標をまだ公表していません。しかし、部品サプライヤーとの協議を経て、最終的な計画を決定する予定です。ホンダはすでに、シビックハイブリッド5ドアの生産を日本から米国のインディアナ州工場へ移管しています。この動きは、関税への懸念から自動車生産拡大へと繋がっています。


金属フォーカス 編集部コメント

ホンダの米国での生産拡大は、自動車産業におけるサプライチェーンの再編を加速させる兆候です。高関税が恒常化する可能性を考慮し、現地生産・現地調達を強化する動きは、他の自動車メーカーにも波及するでしょう。特にハイブリッド車や電気自動車の普及に伴い、バッテリー材料をはじめとする重要鉱物のサプライチェーンの現地化は、自動車産業全体の競争力を左右する重要な要素となります。この動きは、日本の素材メーカーや部品メーカーにも大きな影響を与える可能性があります。


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