欧州HRC市況に停滞感、薄商いの中で価格維持模索

HRC

北部・南部ともにスポット需要低迷、輸入材との価格差拡大で下押し圧力も

欧州ホットロールコイル(HRC)市場は、需要不足を背景に弱含みの展開が続いている。5月6日時点のFastmarkets報道によれば、欧州北部では6~7月納品分の取引価格が最大でも655ユーロ/t(出荷工場渡し)にとどまり、提示価格(680ユーロ/t以上)との乖離が顕著となっている。

関係者によると、HRC需要は長期にわたり低調で、特に例年消費が減速する6~7月期に価格上昇は見込みにくいとの見方が多い。

一方、製鉄メーカー側は2025年後半の長期契約交渉を前に、現行価格維持に注力している。複数のサプライヤー筋は、自動車メーカー向け後半契約価格として800ユーロ/tを目指す方針を示しており、上期の契約価格(700~750ユーロ/t)より引き上げを狙う構えだ。

北部・南部ともに指数は横ばい〜下落

Fastmarketsの北欧域内出荷ベースHRC日次指数は5月6日時点で654.98ユーロ/tと、5月2日から2セント安。週間でわずか24セント上昇、月間でも3.15ユーロの微増にとどまる。

一方、南欧(イタリア)市場では下落幅がやや大きく、日次指数は615ユーロ/tと5月2日比で8.13ユーロ安、週間・月間ともに12.50ユーロ安だった。市場関係者によると、取引は静かなままで、成約価格は610~630ユーロ/tのレンジに収束している。

輸入材の魅力増す、東南アジア品が急接近

一方で、欧州材と輸入材の価格差が拡大しており、海外HRCに対する関心が回復しつつある。トルコ材(7月積)成約価格はCFRイタリアで540ユーロ/t(反ダンピング税含む)、インドネシア品は520~530ユーロ/t、マレーシア品は500ユーロ/tのCFR価格が提示されている。

インドからも565~580ユーロ/tのCFRオファーが報告されており、地域間価格差を背景に、欧州製品の価格維持はより困難になる可能性が高まっている。

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