インドのフェロアロイ価格が5月初旬に下落、Mn鉱石と電力安が影響

フェロアロイ

鉄鋼メーカーのコスト減に寄与、インドの鋼材需要は拡大基調

インド国内のフェロアロイ(合金鉄)価格が5月初旬に下落した。BigMintによれば、フェロマンガン(Mn70)価格は4月25日から5月5日までに8ドル安の863ドル/t(EXWダルガプール)、Mn75も9ドル下落し865ドル/tとなった。

シリコマンガン(Mn60)も3ドル安の831〜834ドル/t(EXW)に調整された。輸出価格(Mn60)は2ドル安の840ドル/t(FOB)、Mn65は1ドル安の931ドル/t(FOB)とやや緩やかな値動きだった。

原料・電力コストの低下が価格調整を促進

市況下落の背景には、原料コストの低下がある。インド最大のマンガン鉱山会社MOILは5月1日に鉱石価格を引き下げ、Mn44は5%安、Mn30は10%安、Mn25は15%安となった。

さらに、輸入鉱石も値下がり。南アフリカ産Mn37鉱は5%安の3.92ドル/t(CIFインド)、オーストラリア産Mn46も4%安の4.92ドル/tで推移している。

また、スポット電力価格も72ドル/MWhから60ドル/MWhへと17%下落(IEX調べ)。これにより、フェロアロイ工場の生産コストが下がり、価格の引き下げ余地が拡大した。

鉄鋼メーカーに恩恵、中国市況は慎重な見方

こうした状況は、鉄鋼メーカーにとってはコスト削減の好機となる。一方で、インド国内の鋼材価格は2025年に入り上昇基調が継続しており、需要の強さが背景にある。調査機関CRISILは、2025年のインド鋼材需要が前年比8~9%増加すると予測している。

中国ではフェロシリコン(Si75)現物価格は858ドル/t(EXW)で横ばいだったが、7月渡し先物価格は29ドル下落し742ドル/t(鄭州商品取引所)。これは、政府による鉄鋼業界向け刺激策の効果に対する市場の不信感を反映している。

なお、インド政府は2047年までに国内の粗鋼生産能力を5億トン/年、輸出能力を2,500万トン/年に拡大する構想を発表しており、フェロアロイ需要は中長期的に拡大が見込まれる。

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