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スクラップ |
零クオータで輸出ライセンス制導入、国内製鋼原料の確保を優先
ウクライナ経済省は、2025年の鉄スクラップ輸出にライセンス制度と年間クオータ(割当)を導入し、クオータをゼロとする内容の内閣決議案を公表した。輸出は事実上全面禁止となる見通しで、現在、公開討論の対象となっている。
この規制は、2024年12月24日付のCMU決議第1481号の別表1の改正によって実施される予定。対象はHSコード7204の鉄スクラップで、ライセンスは設定された年間クオータの範囲内でのみ発給される。2025年のクオータがゼロであるため、ライセンス発給=輸出禁止を意味する。
同様の措置は、過去にも国内製鋼需要が高まった際に実施されたことがあり、今回も戦時下で生産を再拡大する鉄鋼企業向けに原料安定供給を図るのが目的。
スクラップは「戦略資源」へ、世界的な輸出制限の流れ加速
ウクライナの鉄スクラップ輸出量は、2023年に前年比60%増の29.3万トン。2022年の5.4万トンからは3.4倍超に拡大していた。主要輸出先はポーランド(24.9万t)、ギリシャ(3.4万t)、ドイツ(0.65万t)だった。
しかし、GMK Centerによれば、世界的な脱炭素化とグリーン製鉄の流れを背景に、鉄スクラップは輸出品から戦略資源に転換されつつある。即時に必要量を生成できないこと、価格の安定が製鋼業の競争力に直結することから、各国は国内市場向けに資源を確保する動きを強めている。
現在、世界で48カ国がスクラップ輸出を制限しており、そのうち3分の1以上が全面禁止措置を採っている。世界の粗鋼生産量の77%が、既にスクラップ輸出制限国、または今後導入予定国で占められている。
ウクライナ政府としても、スクラップそのものよりも、スクラップを使った鋼材製品の輸出を奨励する方が合理的だと判断。鉄鋼業は主要納税産業でもあり、付加価値の高い製品輸出が財政的にも有利とされている。
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